とと姉ちゃん 11週62話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」11週62話のあらすじネタバレと感想です。
まずは11週61話の振り返りを少し。
昭和十五年十月・・常子の周囲にも次第に戦争の影響が迫って来ていました。
会社の業績は悪化し、常子たちの仕事もめっきり減って、このままでは誰か首を切られるかも・・かをるの言葉に常子も不安になります。
青柳商店では、経営方針を巡って清と滝子の間に溝が生じ、森田屋は食糧不足の煽りを受け、君子に給金の支払いを待ってもらうことに。
そんな折、かをるに誘われた常子は息抜きも兼ねて、ビアホールで反抗期を迎えた弟たちとの関係に悩むかをるの相談に乗ることになりました。
しかし、かをると二人で飲み始めた常子に絡んできた酔っ払いが、美子が編んでくれたマフラーを床に投げ捨て、踏みつけ、侮辱したことに、常子が思わず手を上げ・・・
とと姉ちゃん 11週62話のあらすじネタバレ
謎の少女・お竜
「汚ねえマフラーがそんなに大事か!」酔っ払いの暴言に、思わずカッとなって手を上げた常子。
激怒した酔っ払いが常子を投げ飛ばし、騒然となるビアホール。
常子は、マフラーを取り戻そうと酔っ払いに掴みかかりますが、逆に酔っ払いの仲間に羽交い絞めにされてしまいます。
そんな常子を置き去りにして、逃げ出すかをる。
「離してください!」常子が酔っ払いたちに必死で抵抗していると、「痛たたた!」突然酔っ払いが悲鳴を上げたかと思うと、何者かに投げ飛ばされていました。
驚いて常子が見ると、そこにはバンダナを巻いた一人の少女が。
殴りかかる酔っ払いをかわし、常子の手を取って下がらせます。
尚も殴りかかろうとする酔っ払いを、今度は二人の男が殴り飛ばしました。
「纏めて面倒見てやる!」男のその言葉をきっかけに、店内は大乱闘に発展してしまいました。
「大丈夫かい?」常子の様子を気遣う少女。
しかし、そこでマフラーが無いことに気付いた常子が周囲を見回すと、暴れる男たちに踏みつけられぐちゃぐちゃになったマフラーが。
思わず乱闘の中に飛び込んでいく常子。
少女が驚いた様子で常子を見つめています。
とそこへ、「警察だ!」叫びながら数人の警官が、店内に駆け込んできました。
慌てて身を隠す少女。
「悪いのはあの女だあー!」破れかぶれになった酔っ払いが、常子に罪をなすりつけ、真に受けた警官が有無を言わさず連行します。
「私は何も・・・」常子の抗議に、警官は耳を貸そうとはしませんでした。
警察署に連行され、取調室でうな垂れる常子。
「・・・事情は分かった。帰ってよし」取り敢えず誤解は解け、解放されることに。
身なりもしっかりとした常子を見て、嘘はないだろうと判断した警官が、常子の荷物を返してくれました。
しかし、そこにあったのはバックだけ・・「あ・・あと、マフラーは?」警官に尋ねますが、どうやら知らないようです。
見つかったら知らせる・・そう言われ、常子は勤め先を警官に教えると、ようやく警察署を出ることが出来ました。
夜の道をとぼとぼと家路につく常子。
すると、「お勤めご苦労さん」暗がりから、ビアホールで助けてくれた少女が現れました。
仲間と思しき二人の男を連れた謎の少女は、常子の目の前にマフラーを差し出しました。
「これあんたのだろ?」少女が差し出したマフラーに、思わず駆け寄り頭を下げる常子。
妹が編んでくれたんです・・大事そうにマフラーを抱きしめる常子に、少女は興味を覚えたようです。
「職業婦人なんて、男に媚び売ってお高くとまっている奴らばかりだと思ってたけど・・・」
変わったのもいるんだね・・そう言って去って行きました。
少女を黙って見送った常子は、改めてマフラーを抱きしめるのでした。
その後、再び家路についた常子でしたが、ふと背後に気配を感じます。
「何か?」常子に気付かれたのがばつが悪いのか、辺りを見回し、ちょっと返事を躊躇う男。
「この辺りは暗いから、お竜が大通りまで送れって・・」”お竜”というのがあの少女の名前のようです。
男は無駄話をしたくないのか、さっさと歩くよう常子を促します。
「どうして・・離れて歩くんですか?」一定の距離を保ったままついてくる男に話しかけます。
「あんたみたいな良いとこの娘が・・」俺みたいなのと並んで歩いていたら、何言われるか分からない・・・
ぶっきら棒に答える男に、ちょっと可笑しくなる常子。
「別に良いとこの娘じゃ・・・」常子にはそんな自覚は全くありませんが、男から見れば別世界の人間。
「あんたみたいな恵まれた人が羨ましいよ」男に言われ、常子は自分の立場について考えるのでした。
美子が常子のために編んでくれたマフラー・・何より大切な、家族との絆を象徴するそのマフラーが、常子を思わぬ危機に陥れます。
”汚ねえマフラー”という酔っ払いの暴言に、一瞬にして怒りに火が付いた常子。
これほどまでに導火線が短かったとは・・それほどマフラーに対する思い入れが強かった、と言うことなのかもしれませんが、少々暴走気味だったのではないでしょうか?
時代の空気が徐々にきな臭くなっていく中で、常子にも知らず知らずのうちに、様々なストレスが圧し掛かっていたようです。
或いは、武蔵との辛い別れも常子から余裕を奪っていたのではないでしょうか?
だとしても、男たちの乱闘の中で、ぐちゃぐちゃに踏みつけられるマフラーを見て、考えるまもなく飛び込んでいく常子の姿からは、やはり家族への強い思いが伝わってきます。
そして、酔っ払いたちから助けてくれたお竜・・これまで常子が縁の無かった世界の人間が、物語に登場しました。
常子の境遇を何も知らず、お竜の仲間は常子の事を”恵まれた人”と言ったわけですが、お竜たちとの出会いは常子にどんな変化をもたらすのでしょうか?
ひょっとしたら、今回の事件によって職を失うことになる常子が、立ち直るきっかけを与えてくれるのかもしれません。
絶望する宗吉、照代は・・・
その後男と別れ、森田屋へと帰ってきた常子。
「遅くなりました・・・」遠慮がちに玄関をくぐると、「この飲んだくれ!!」突然響くまつの罵声。
反射的に謝る常子でしたが、「うるせえんだよ!!!」茶碗の割れる音と共に、今度は宗吉の怒鳴り声が。
台所を覗いた常子が見たのは、今にも掴みかからんばかりの勢いのまつと宗吉、そして二人を必死に抑える長谷川や君子たちの姿でした。
「給金も払えないってのに、有り金叩いて飲んでくる奴があるか!!」激怒しているまつ。
宗吉も興奮して怒鳴り散らし、一歩も引く気配がありません。
近所に聞こえます・・と気にする鞠子、富江ちゃんも寝てますし・・と宗吉を押さえようとする長谷川。
あまりの騒動に富江も起きてきました。
「もう具合いいの?」体調を気遣う常子ですが、「父ちゃんがやかましくて悪化した」富江はかなりイラついているようです。
「これが飲まずにいられるかってんだ!」開き直る宗吉、これでも飲んでろ!と水をぶっ掛けるまつ。
再び乱闘になりかけますが・・「もうよしなさい!!!」まつがあらん限りの大声で怒鳴りつけると、宗吉もようやく少しだけ落ち着きを取り戻しますが・・・
改めて、皆の前で宗吉が不満を並べ立てます。
魚も手に入らない・・コメの飯は店で出せない・・「揚句今日!!贔屓の五八様も潰れちまった・・・」
森田屋の窮状に、一同も言葉がありません。
「俺が何したっていうんだよ・・・」悔し泣きする宗吉。
世間に顔向けできねえようなこと、何一つしちゃいねえんだぜ・・・泣き崩れる宗吉に皆が言葉を失った時、照代が戻ってきました。
「遅くなりました・・・」そう言って台所に入って来た照代ですが、その場の不穏な空気に表情が曇りました。
ですが、すぐに気持ちを切り換えたように、「あーあ・・割れちゃって・・・」そう言って台所の片付けを始めます。
手伝いを申し出る君子ですが、「いえ・・私たちの家の事ですから・・・」そう言って断るのでした。
その後部屋に戻り、布団を敷いて横になった小橋家の四人ですが、なかなか寝付けるものではありません。
「照代さんの怖い笑顔・・久々に見た気がする」常子が呟くと、鞠子も離縁を考えているのでは・・と心配になります。
そんな娘たちの詮索を咎める君子は、常子が今日帰りが遅かった理由が気になっていました。
「・・・ごめんなさい、会社の方にビアホールに誘われて」”ビアホール”という言葉に反応し、思わず身を起こす鞠子と美子。
何か美味しいもの食べたの?・・と、食いしん坊の美子らしくそこが気掛かりな様子。
あくまでビール一杯だけの事ですが、こんな時に自分だけ・・と妹たちに謝りますが・・・
「謝ることなんてないのよ。あなたが稼いだお金なんだから」それに付き合いも大事、と君子が理解を示します。
いつもお世話になってる方なんでしょ・・そう尋ねた君子に、「はい、とても良くしてくださる方です」と、笑顔で答える常子。
「本当に私・・恵まれてますね・・・」しみじみ呟く常子を、君子がやさしい目で見つめていました。
常子と同様、或いはそれ以上のピンチを迎えつつある森田屋。
仕入れ先からも見放され、国家の統制の影響をもろに受け、八方塞の状況に絶望する宗吉は、立ち直ることが出来るのでしょうか?
富江が宗吉を見る目の厳しさ、森田屋の娘としての誇りは、酒に溺れる父親を見て、崩れ去ってしまったのかもしれません。
久々に見せた照代の”怖い笑顔”の意味するところは、鞠子が懸念するように、照代と宗吉の離婚の危機なのでしょうか?
常子たちにとって何よりの恩人ですが、この先待ち受けるであろう波乱を乗り切ることが出来るのか・・常子は恩人たちを支えることが出来るのか?
ピンチにピンチが重なり、常子たちと森田屋の面々はこれからどうなっていくのでしょうか?
手を取り合って時代の荒波を潜り抜け、逞しく生き延びるのか・・それともこのままバラバラになってしまうのか・・・
こんな時だからこそ、これまで築き上げてきた絆が試される訳ですが・・乗り越えてくれると信じたいですね。
かをるの裏切り
翌日、会社に出勤した常子は同僚たちの様子に、違和感を覚えます。
「多田さん・・何かあったの?」かをるに尋ねますが、なぜか常子から目を逸らし、答えようとしません。
不審に思っていると、背後から早乙女が声を掛けてきました。
「小橋さん・・課長がお呼びです」淡々と告げる早乙女に、何か胸騒ぎを覚える常子。
常子は早乙女に連れられ、山岸課長の元にやって来ました。
「お呼びでしょうか?」自分が何故呼び出されたのか、常子には分かっていません。
「単刀直入に言うよ・・君は、首だ」あまりに唐突な話に、驚くよりも呆気にとられてしまう常子。
「聞こえなかったのか・・君は首だと言ってるんだ」再度通告する山岸。
しかし、常子には首になる理由が分かりません。
警察沙汰を起こすような恥晒しは不要・・山岸は、さらに冷たく言い放ちます。
昨晩のビアホールの事件に関し、事実関係の確認のため会社に連絡が入ったのでした。
「あの・・事件て・・・」常子にはその自覚がありません。
「とぼけるつもりかあ!!」突然声を荒げる山岸。
ビアホールでの一件が、常子が酔っぱらって男性客に因縁をつけたことで、乱闘騒ぎに発展した・・事実と全く正反対に伝わっていたのでした。
身に覚えのない話に動揺する常子は、かをるに事実関係を確認するよう求めるのですが・・・
「その多田かをるが、君から手を出したと言ってるんだ」山岸がせせら笑って、信じられないことを言い出しました。
理由はどうあれ、警察沙汰を起こしたことには変わりない・・荷物を纏めて出て行くよう、常子に命じます。
ショックを受けた常子は、助けを求めて早乙女を振り返りますが・・黙ったまま目を伏せてしまいました。
「私が首になったら、誰が家族を支えて行けば・・」君子も給金を止められ、妹たちの学費を稼がなければならない。
自分が稼がなければ家族を養えない・・必死に懇願する常子。
「首は決定したことなんだよ!君の家庭の事情が私なんかが知ったこっちゃない!!」
面倒くさそうに話を打ち切ろうとする山岸に、常子は尚も必死に食い下がりますが・・・
「君の不祥事はもう知れ渡ってるんだ・・・」残ることはもう諦めなさい・・山岸はそれだけ言い残し、常子を押しのけ言ってしまいました。
それでも山岸に取りすがろうとする常子を、見かねた早乙女が止めに入ります。
「何を言っても無駄です!!」取り乱す常子に、厳しい現実が突きつけられました。
常子は早乙女に伴われ、重い足取りで廊下を戻っていきます。
「納得できません・・・」呆然自失の常子が呟きました。
対して早乙女は、冷静に常子を諭します。
私たちの変わりはいくらでもいる、どれだけ会社に尽くしても、女と言うだけで軽く見られる・・・
常子はぼんやりとして返事も出来ず、早乙女も辛そうな表情を浮かべ、その場を重苦しい空気が包みました。
その時、「小橋さん・・・」廊下の向こうから、かをるが現れました。
「小橋さん・・・ごめんなさい」震える声で謝るかをる。
「首になりました・・どうして・・どうして課長に嘘ついたんですか・・・」
怒りを押し殺すように、常子が静かに尋ねました。
佃部長と山岸課長の密談を聞いていたかをるは、二人いる和文タイピストのどちらかが、切られることを知っていたのです。
「重役の方の知り合いを入れるために、一人首にすると・・・」必死に釈明するかをる。
「本当にあなたには悪いと思ってる・・でも、あなたが私でも同じことをしたと思うわ」
泣きそうな顔で、常子には到底受け入れられない言い訳を繰り返します。
私のお給金が無かったら、幼い弟や妹は食べることすら出来ない・・半ば開き直った、かをるの自己弁護が続きます。
「あなたなら分かってくれるでしょ?」そう言って、必死に常子の手を取り、許しを求めてきました。
必死に常子の目を覗き込むかをる・・その姿をぼんやり見つめていた常子は、やがてゆっくりと微笑みました。
「それは・・仕方ありませんね・・・と言えるほど、私は人間が出来ていません」
一瞬、許された・・と思ったかをるでしたが、最後の言葉を聞き、改めて後ろめたくなったのか、ゆっくりと常子の手を放しました。
「早乙女さんや多田さんに出会えて・・凄く幸せでした」周りの人に恵まれている・・そう思っていた常子。
なのに・・これからどうすれば・・常子の目に涙が溢れてきました。
かをるに泣いている姿を見せまいと、走り去って行く常子。
慌てて早乙女が後を追いますが・・一人で声を押し殺して泣く常子を前に、掛ける言葉が見つからないのでした。
山岸にとって事件の真相はどうでもよく、格好の口実を見つけたことで、有無を言わさず常子に首を言い渡します。
男社会の理不尽さに今更ながら唖然としますが、それよりもあまりに身勝手なかをるの言い訳にも、唖然とするほかありません。
しかし、ここまで明け透けに心情を吐露するというもの、かをる自身の罪悪感の裏返しなのではないでしょうか?
幼い弟や妹たちを、食べさせていかなければならないというかをるの事情は、小橋家の大黒柱である常子にもそのまま当てはまります。
それは当然かをるも承知の事で、「あなたが私でも同じことをしたと思うわ」という台詞は、自分を納得させるために無理矢理口にしたようにも思えます。
生き延びるために常子を売ったかをる・・そんな同僚に、常子は激しい怒りを覚えているはずですが、それよりも信頼していたかをるに裏切られたショックの方が大きいようです。
「あなたが私でも・・・」とかをるに言われ、その瞬間常子は何を考えたのでしょうか?
自分がかをるを裏切る光景を思い浮かべ、頭の中で様々なシミュレーションが浮かんでは消えたのかもしれません。
ひょっとすると、常子の心の中にもかをると同じような弱さやズルさが、垣間見えたのかもしれません。
とと姉ちゃん11週62話の感想まとめ
とうとう会社を首になってしまった常子ですが、最悪なのは味方だと信じていたかをるの裏切りの方かもしれません。
必死で言い訳するかをるの姿に、常子の絶望的な気持ちがそのまま投影されているような気がしました。
森田屋では、商売がことごとく行き詰ったことで、酒に溺れる宗吉が醜態を晒し、さらなる暗雲が漂います。
救いの見えない展開になってきましたが、そんな中で気になるのは、ビアホールで常子を助けた謎の少女・お竜の正体。
手下の男たちを率い、酔っ払い相手に乱闘を演じる・・これまで常子に全く縁のなかった世界の人物。
果たしてお竜がこれから先、常子の人生にどんな影響を与えることになるのか、興味が尽きません。
以上、とと姉ちゃん11週62話のあらすじネタバレと感想でした!