とと姉ちゃん 26週152話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」26週152話のあらすじネタバレと感想です。
まずは26週151話の振り返りを少し。
時代が変わり、主婦の在り方も多様化してきていることを受け、”あなたの暮し”も変わる必要がある・・そう考えた常子。
「十人いれば、十通りの暮しがあります」と、それぞれの暮しを尊重して働けるような場所を整えるため、在宅勤務を認める社内改革に乗り出します。
常子の決意を受け、仕事と家庭の両立に悩んでいた寿美子も退職を考え直すことを告げ、常子はホッとひと安心。
一方、「私も、私なりに答えを出さねばならんな」そんな意味深な発言を残し、花山も”あなたの暮し”のこれからに必要なものを模索し始め・・・
ある日、いつまでも出社してこない花山を常子たちが心配していると、「今取材で・・広島に来ている」という電話が掛かってきました。
とと姉ちゃん 26週152話のあらすじネタバレ
死ぬ瞬間まで編集者でありたい
「四日も留守だと・・書類も溜まってきますね」花山の机を見て、ポツリと呟く水田。
心配そうな表情を見せていた常子でしたが、「そうですねえ・・帰っていらしたら、バリバリ働いて頂かないと」苦笑いでそう応じます。
予定では今日戻るはず・・やきもきしながら花山の帰りを待つ常子でしたが・・・
「常子さん・・常子さん!」電話に出た島倉が、不意に大声を上げ周囲の視線が集まりました。
「どうしたの?そんな大きい声出して・・・」常子はちょっと苦笑いを浮かべます。
が、「花山さんの奥様から・・花山さんが東京駅で倒れたそうです」島倉の言葉に、常子をはじめ一同は騒然。
常子と美子が急ぎ病院に駆けつけると、そこには・・まるで何事も無かったかのように、ベッドの上で原稿を書く花山の姿が。
「やあ・・お二人さん」澄ました顔で挨拶する花山に、常子も美子もちょっと唖然。
「常子さん・・美子さん・・このたびはお騒がせしました」花山の妻・三枝子と、娘の茜が代わる代わる頭を下げます。
呆気にとられながらも花山の体調を気遣う常子ですが、「問題ない落ち着いているよ」花山は短く答えるのみ。
どうやら、三枝子は花山の容体も分からないまま、気が動転した状態で会社に連絡を入れたようです。
「倒れたなんて大袈裟なんだ・・例の・・例の”胸のアレ”でね・・少し苦しくなったから、腰を下ろしただけだ・・・」
面倒くさそうに説明する花山を見て、常子はようやく安心した様子。
「もう・・心配賭けないで下さいよ・・みんな病院に駆けつけるって言って、大変だったんですから・・・」
常子の言葉に、さすがに花山も少し申し訳ないと思ったようですが、それでも原稿の執筆はやめません。
一方、茜は花山の無茶を非難しつつ、「そんなに急ぎの原稿があるんですか?」常子たちにそう尋ねます。
しかし、常子たちは花山が何の取材で広島を訪れていたのか、何も知りません。
皆の視線が集中するのを感じたのか、ようやくペンを置き話し始めました。
「戦争中のねえ・・人々の暮しの記録を記事にしたいんだ」花山が関心を持っていたのは、名もない市井の人々がどのような暮らしをしていたのか・・という事。
歴史的な大きな事件ではなく、あの戦争の中での日々を残しておこう・・そう考えたと言います。
「以前から探していたんだよ・・”あなたの暮し”がこれからの世に、提案すべきものは何なのか・・」
戦争中の名もない人々の暮しが、世の中から忘れ去られないよう訴えていくことも、”あなたの暮し”の役割ではないか・・・
「あの戦争は・・我々庶民の暮しを滅茶苦茶にした・・・」花山には終戦を迎えて以来、ずっと考えてきた事がありました。
「あの戦争の間、ただ黙々と歯を食いしばって生きてきた人たちは、何を食べ、何を着て、どんなふうに暮らしていたか、それについて具体的なことはほとんど残されていない・・・」
正確な記録が残されている戦争の経過などに比べ、庶民の生活の記録が無い事を嘆き、「それを残したいんだ!」そう訴えます。
もし、一人ひとりが自分の暮しを大切にしていたら・・もし、守らねばならない幸せな家族との豊かな暮らしがあったなら、戦争は起こらなかったかもしれない・・・
「二度と戦争が起きぬように、あの戦争に関わってしまった人間として、戦後生まれの人にもきちんと伝えたいんだ」
そんな考えで広島に取材に赴いた花山でしたが、思うようにはいかなかったと言います。
辛い記憶だけに人々は口が重く、戦争中の事は話したがりません。
「”今更蒸し返して欲しくない”とも言われた」自嘲気味に話す花山でしたが、諦めた訳ではなく、来週にでも再び広島に行くつもりのようです。
「一週間もあれば退院出来るだろう」花山はいかにも軽く考えている様子。
しかし、仮に退院出来たとしても病気が治った訳ではありません。
治るまで待ってられん・・焦る花山に対し、「でしたら、花山さんの代わりに私が!」必死に止めようとする美子ですが・・・
「駄目だ!従軍経験がある私でなくては出来ん!」花山はどこまでも頑なです。
直に人々の声を聴いて記事にしてみたい・・花山の思いに、常子は複雑な表情を見せます。
ところが、「いい加減にしてよお父さん!こんなに皆さんが心配して下さっているのに・・・」堪らず声を上げる茜。
花山の年齢を考え、「お仕事よりも・・お体をもっと大事にして!」真剣に訴えます。
さすがに神妙な面持ちになる花山に対し、「私も茜に賛成です」三枝子も声を上げました。
もし今度倒れたらと思うと、生きた心地がしない・・不安な気持ちを伝え、考え直すよう促しますが・・・
「死んでも構わん・・私は死ぬ瞬間まで編集者でありたい・・その瞬間まで、取材し、写真を撮り、原稿を書き、校正のペンで指を赤く汚している、現役の編集者でありたいんだ!」
あまりに激しい花山の口ぶりに、三枝子も茜も言葉を失います。
「常子さん!君なら分かるだろう!!」鬼気迫る花山の様子に、さすがに常子も一瞬返事を躊躇しました。
しかし、「私は・・取材に賛成することは出来ません・・奥様や茜さんが反対してらっしゃるのに、認める訳にはいきません」きっぱり言い切りました。
何か言いたそうにしていた花山でしたが、結局言葉を飲み込み、下を向いてしまうのでした。
「私は死ぬ瞬間まで編集者でありたい」花山の強い思いに触れた常子は、その瞬間に一体何を思ったのでしょうか?
戦後すぐ、二人で”あなたの暮し”を立ち上げ、ここまで苦楽を共にしてきただけに、その強烈な信念に共感するところもあったはずです。
花山の話を複雑な表情を浮かべながら聞いていた姿を見て、体調を気遣いながらもその思いを叶えてあげたい・・そんな風に考えているように思えました。
しかし、三枝子や茜、それに美子などの手前、花山の無茶を認めることは出来ません。
とにかく、まずは体調を整えることが最優先・・ひと息ついてからゆっくり考えればいい、と考えているのでしょうか?
しかし、花山がそんな悠長な提案を受け入れるはずはなく、常子の悩みは深刻です。
一方、”あなたの暮し”がこれからの世に提案すべきものとして、戦争中の名もなき庶民の暮しに目を付けた花山の考えは、常子としても賛成なのではないでしょうか?
「私は戦争中・・男には・・毎日の暮らしなどよりも、もっと大事な物があると思い込んできた」かつてそう語った花山。
敗戦によって信じていたものが崩れ去り、人々の暮しこそ「何ものにも優先して一番大事なものなんだ」という結論に至ります。
それこそが”あなたの暮し”の原点であり、自分の人生が残り少ない事を悟った花山は、最後の仕事として庶民の生活の記録を残すことを選んだのではないでしょうか?
庶民の多くが豊かな暮らしを取り戻した今、もう一度戦時中の苦しかった時代に目を向け、戦後生まれの人々にもきちんと伝えなければならない・・・
そんな使命感に駆られる花山を見て、常子も心に響くものがあったはず。
雑誌作りを前向きに考える花山に、「私となら・・必ずできます!」と何の根拠もなく断言した常子。
今こそ、その責任を果たすべき時なのかもしれません。
「読者を信じてみませんか」
「それで花山さんは納得したの?」常子たちから経緯を聞いた鞠子が、心配そうに尋ねました。
「う~ん・・たぶんね・・それっきり黙ったままだったから」確証を持てない美子は、曖昧な返事しか出来ません。
医者は当然安静を勧め、もし一週間で退院できたとしても、すぐに仕事に復帰することには反対の立場です。
「・・・ましてや、広島に出掛けるなんて・・とても許可できないって・・・」小さく頭を振る美子。
しかし、「それでも花山さんは・・取材なさりたいでしょうねえ・・・」たまきが思わずぽつりと呟くものの・・・
空気を読めない発言に皆の視線が集中すると、さすがにばつが悪そう。
一方、「とと姉はまだ迷っているのね・・本当に止めてよかったのか」鞠子はそう感じていました。
三枝子や茜の気持ちを考えれば、とても許可することなど出来ませんが、常子の心中は複雑なようです。
対して美子は、「・・・今日の花山さんのお姿を見ただけで・・それだけで頷けなかった」あくまで花山の体調を案じます。
最近では、昔では考えられないような老け込みようだから・・水田も花山が心配なことに違いはありません。
そんな中、常子は病院で聞いた花山の言葉を思い返していました。
―――私は死ぬ瞬間まで編集者でありたい・・その瞬間まで、取材し、写真を撮り、原稿を書き、校正のペンで指を赤く汚している、現役の編集者でありたいんだ!
その激しい思いに触れた常子は・・・
翌日、常子たちは再び入院中の花山を訪ねました。
看護婦に脈を診てもらっている花山ですが、常子たちを忌々しそうに睨み付け、看護婦は実にやりにくそう。
「私が勝手に抜け出さないか見張りに来たのか」ぞんざいな口調で尋ねる花山。
「せっかくお見舞いに来て下さったのに・・・」茜は呆れ顔。
一方、「怒ったりしたらダメですよ・・血圧、また上がりますから」看護婦に注意されると、花山は目を剥いてまるで威嚇するようにねめつけます。
まるで子供のような花山に、家族は恐縮するしかありません。
そんな中、「花山さん・・取材をなさりたいという気持ちに・・お変わりはありませんか?」改めて確認する常子。
ちょっと意外そうな顔をした花山ですが、「勿論だよ!」むくれたように返事をします。
「あれから・・色々考えたんですが・・やはり、花山さんがなさろうとしている企画は・・続けるべきだと思うんです」
以外な事を言い出した常子に、美子も水田も困惑を隠せません。
そして、「待って下さい・・父は仕事が出来る状態じゃ・・・」当然のごとく戸惑いを見せる茜。
「ええ・・ですから・・これ以上の取材を、認めることは出来ません」慌てて答える常子に、今度は花山が疑問を投げかけます。
「どういう事だ・・取材しなければ戦争体験者の声を集められんだろう!」花山は常子の意図を図りかねる様子。
しかし、常子には戦争体験者の声を集めるため、考えたことがありました。
「”あなたの暮し”で・・戦時中の暮しについて書いてくださいと、読者の方から募集するのはいかがでしょうか?」
原稿用紙一枚、或いはそれ以下であっても、読者が書いたものをまとめることが出来れば・・・
「あ・・それなら・・取材に出向かずとも、多くの声を集めることが出来ますよね」水田は納得したようです。
一方、「だが・・本当にそれで質の高い記事に・・・」花山はまだ迷っています。
そんな花山に対し、「読者を・・信じてみませんか」真剣に訴える常子。
”商品試験”の時に”あなたの暮し”を信じて応援してくれた読者を、常子は信じていました。
「新しい雑誌が日々生まれる中で、買い続けて下さっているような方々です・・我々の思いに共感して・・戦時中の暮しについて、ありのままに語って下さるはずです」
花山の体調を考慮し、出来るだけ負担の掛からない方法を考えた常子に、三枝子や茜は感謝の気持ちを表します。
そして花山は・・しばらく黙って考え込んでいましたが、「募集文は私に書かせてくれ」ぶっきら棒にそう答えました。
花山らしい言い方に、常子は思わず笑顔になるのでした。
―――その戦争は、昭和十六年に始まり、昭和二十年に終わりました・・それは、言語に絶する暮らしでした
病院のベッドの上で、原稿にペンを走らせる花山。
―――その言語に絶する明け暮れの中に、人たちはやっと、ぎりぎり生きてきました・・親兄弟、夫や子、大事な人を失い、そして青春を失い、それでも生きてきました
―――そして昭和二十年八月十五日、戦争は済みました・・まるで嘘みたいで馬鹿みたいでした
―――それから二十八年が経って、あの苦しかった思い出は、一片の灰のように、人たちの心の底深くに沈んでしまって何処にも残っていません
―――いつでも戦争の記録という物はそういう物なのです・・あの忌まわしくて虚しかった戦争の頃の暮しの記録を、私たちは残したいのです
―――あの頃まだ生まれていなかった人たちに、戦争を知ってもらいたくて、貧しい一冊を残したいのです
―――もう二度と戦争をしない世の中にしていくために、もう二度とだまされないように、どんな短い文章でも構いません・・ペンを取り、私たちの元へお届けください
花山が募集文を書いてから二カ月後・・常子たちが会社に戻ってくると、「常子さーん!大変です!!」島倉が素っ頓狂な声を上げて駆け寄ってきました。
「ど・・どうしたんですか?島倉さん・・・」突然の事に驚く常子でしたが、「ああ、もういいから来てください!早く!!」と、島倉に促され二階へと上がって行きました。
花山の思いに応えるため、そして花山にこれ以上無茶をさせないため、戦時中の暮しについて読者から募集することにした常子。
「本当にそれで質の高い記事に・・・」と渋る花山に対し、「読者を・・信じてみませんか」真剣な表情でそう訴え、説得することが出来ました。
読者を信じる、という言葉の裏にあるのは、今まで自分たちがやって来たことへの自信なのかもしれません。
”商品試験”が週刊誌や新聞に叩かれていた時にも、応援する投書が数多く寄せられ、勇気を貰ったことがその根底にあるようです。
読者からの投書に気持ちを動かされたのは花山も同じで、改めてそのことを思い返して、信じてみる気になったのではないでしょうか?
加えて、さすがにこれ以上三枝子や茜に心配を掛けられないという思いもあるはずです。
身体が思うに任せず、不本意な入院を強いられる中で、苛立ちが募って言葉が過ぎた・・そんな反省もあるかもしれません。
ともかく、常子の提案を受け入れた花山でしたが、「募集文は私に書かせてくれ」とそこだけは譲れなかったようです。
ひょっとすると、花山は既に自分の限界を悟り、読者に直接訴えかけるのはこれで最後になる・・と思っているのではないでしょうか?
そんな思いのこもった募集文の中で、特に印象に残ったのは「まるで嘘みたいで馬鹿みたいでした」という部分でした。
内務省の役人として敗戦を迎えた花山の、全てを失った虚しさが全面に出てきているように思えました。
もっとも、まるで騙された庶民の代表のように呼びかけていますが、当時の花山の立場を考えると違和感も覚えます。
多くの物を失ったのは同じかもしれませんが、ポスターや宣伝文を考え、国民の戦意高揚を担っていた訳ですから、多少の自省が込められていてもよさそうなものですが・・・
果たして、読者への呼びかけはうまくいくのか、若干の不安も残りますね。
とと姉ちゃん26週152話の感想まとめ
花山が倒れたとの連絡を受け、急いで病院に駆けつける常子でしたが、当の花山は何事も無かったかのようにベッドの上で何やら原稿を執筆中。
若干呆れつつ、ホッと胸を撫で下ろす一方、花山が戦争中の市井の人々の暮しを記録に残そうとしていることを知り、常子は複雑な気持ちになったようです。
死ぬ瞬間まで編集者でありたい・・花山の必死の訴えに心を動かされそうになりながらも、三枝子や茜の気持ちを慮って反対せざるを得ない常子。
そんな花山の気持ちに応えるため、常子は”あなたの暮し”読者から戦争体験を募集することを提案するのですが・・・
果たして常子や花山の思いは読者に届いたのか、読者から寄せられる体験談に花山は何を思うのか・・そして”あなたの暮し”にこれから必要なものとは?
以上、とと姉ちゃん26週152話のあらすじネタバレと感想でした!