とと姉ちゃん 13週75話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」13週75話のあらすじネタバレと感想です。
まずは13週74話の振り返りを少し。
美子と共に再び千葉の農家を訪ねた常子は、ままごと道具と引き換えに農作物を手に入れることが出来ました。
悲しみを押し殺し、無理に笑顔を作っていた美子でしたが、帰り道で「全部戦争のせいよ・・・」と、涙が溢れてきてしまいます。
一方の鞠子は、家族に無理をさせて女子大にまで行かせて貰ったにも関わらず、手に職もなく十分稼ぐことも出来ない事に、自己嫌悪に陥っていました。
さらに、常子に代わって空襲から家族を守ろうとした鞠子でしたが、脚を挫いたうえ怖くて何も出来ず、深く傷ついてしまいます。
終わりの見えない戦争のせいで傷つけられる妹たちを見て、戦争賛美の雑誌作りに疑問を抱き、”違う内容の雑誌”を作りたいと考えた常子。
しかし、ついに五反田にまで赤紙が届き、甲東出版の雑誌作りは風前の灯火となってしまうのでした。
とと姉ちゃん 13週75話のあらすじネタバレ
残された常子は・・・
色々な物を奪っていく戦争を賛美し、国民を煽る雑誌を作ることに耐えられない常子。
しかし、「もう雑誌は作らなくていいんだ・・僕に・・赤紙が来た」ついに五反田までが、召集されることになってしまいました。
「これを君に」五反田が引き出しから取り出したのは、小さな箱でした。
五反田に促され、常子が箱を開けてみると、その中には甲東出版の社判が。
「社長が出征した時、預かったんだ・・・」そして、もし五反田にも赤紙が来た場合には、常子に渡すようにと。
僕らのような年寄りまで駆り出されるようでは・・五反田は自嘲気味に、戦争も長続きしないだろうと・・常子を励まします。
「それまで、君が持っていてくれないか?」五反田の言葉に、しっかりと頷く常子。
「それから・・君ひとり日なっても、この甲東出版って会社は、存続できるようにしておいたから」
唐突に話を切り出され戸惑う常子をよそに、五反田が説明を続けます。
「うちにたくさんある蔵書を、貸与する場所としてここを使う」名目としては、その管理業務をしていることにする。
そうすれば何とか経営を継続できるだろう・・固定給は無いものの、貸した分だけ常子の取り分に。
毎日出勤する必要もなく、「良い話だろう?」おどけて見せる五反田。
「どうしてそんな・・」戸惑う常子に、「うちの会社が無くなれば、君は無職だ」真剣な表情になった五反田が、話を続けます。
勤労動員になって、何処か遠くへ駆り出されるかもしれない・・「その時、家族は誰が支えるんだ?」
そんなことまで・・五反田の配慮に、常子は思わず涙ぐんでしまいました。
「おいおい・・泣きたいなら・・僕の胸を貸そうか?」照れ臭いのを誤魔化す様に、両手を広げて見せる五反田。
常子も思わず笑ってしまいました。
さらに、「君にもう一つお願いがあるんだ」五反田が、再び真剣な表情に戻ります。
「戦争が終わった後は、どんな雑誌にするか、考えておいてくれないか」甲東出版はこれで終わりじゃない・・五反田が強い思いを滲ませます。
あくまでも一時休刊にするだけ・・「僕も社長も・・必ず生きて・・戻ってくる」泣きそうになるのをグッと堪え、五反田が断言しました。
「その時は・・僕たちが心から作りたい雑誌を・・作ろうじゃないか」自分自身を励ます様に、無理に笑顔を作るのでした。
―――数日後・・五反田は出征して行きました
昭和二十年一月、常子は甲東出版を貸本屋として切り盛りしながら、何とか生活していました。
しかし、戦争は確実に小橋家に暮しを侵食し始めていたのです。
赤紙を受け取り、五反田自身も相当な動揺に襲われたでしょうし、家族の心配もしなければならなかったはず。
そんな中で常子のために、甲東出版が存続できるよう手を打っておくとは・・五反田は単にキザなプレイボーイという訳ではなかったようです。
必ず生きて戻ってくると誓った五反田・・普段飄々としているだけに、涙をグッと堪えるシーンは胸を打つものがありました。
もっとも、思わず涙ぐんだ常子をどさくさ紛れに抱きしめようとするなど、相変わらずな部分もありますが。
常子にとっては、何とか首の皮一枚でつながった格好ですが、その分宿題も出されてしまいます。
戦争が終わった後は、どんな雑誌にするか・・常子自身、戦争賛美の雑誌作りに疑問を抱いていただけに、うってつけのテーマとも言えますが・・・
戦争の影響で小橋家の暮らしがどんどん浸食されていく中、そんなことを考える余裕は無いようにも思えます。
しかし、五反田の言葉を受け、戦後の甲東出版の進む道について考えることは、常子にとって大きな意味があるはずです。
防空演習
―――僅かに配給される食料は、サツマイモばかり・・燃料も乏しく、冷え込む冬の夜を四人で寄り添い寒さを凌ぎます
しかし、ようやく眠りについたかと思えば、繰り返し鳴り響く空襲警報に怯え、一家の疲弊は増幅されるのです。
それでも常子は、笑いを忘れないように心掛けていました。
君子と鞠子も日々の暮らしの中で、心を豊かに保つことを忘れてはいませんでした。
そして、美子は・・「ねえ、見て!やっと出来た!」端切れで作った飾りをみんなに見せ、少し得意げ。
中々良いわね・・とっても素敵・・と、常子たちも気に入ったようです。
「ささやかな心掛けが、小さな幸せを生む・・・」かつて、恩師のチヨから掛けられた言葉を思い出す常子。
美子の”ささやかな心掛け”を見て、確かにその通りだなあ・・と思ったのでした。
「こんな世の中だけど、せめて家の中だけでも、穏やかな心持で暮らせるように心掛けましょう」
君子の言葉に、頷く三姉妹でしたが・・・
「焼夷弾落下!」大きな声と共に、三宅が爆竹をバケツの中に放り込みます。
消火始め!という三宅の掛け声と共に、防空演習が始まりました。
―――防空演習は全員参加を義務付けられており、老若男女を問わず集められ、訓練が行われました
参加者たちがバケツリレーを繰り返す中、「急げー!迅速にー!」三宅の声が響きます。
「さすがとと姉・・上手いわね」常子の手際に感心する鞠子。
一応経験者ですから・・得意気に答える常子ですが、浜松で消火訓練に参加したのは、もう十年以上前の話。
すっかり立派になっちゃって・・茶化す様に囁く君子に、「色々ありましたから」常子がニヤッと笑って答えました。
その時、「何をしておる!!」突然三宅の怒声が響き渡り、自分たちが注意されたと思った常子は、反射的に謝ります。
しかし、三宅の怒りが向けられていたのは別の参加者でした。
身体の具合が悪く、途中で座り込んでしまった女性に対し、「早く起き上がれ!」容赦ない言葉を浴びせる三宅。
「すみません。母はこのところ具合が悪くて・・」必至に女性の娘が謝りますが、「だからなんだ」三宅は一切認めません。
アメリカの攻撃は待ってくれないんだ・・「たった一人が足を引っ張ることで、この組全員が危険に晒されるんだ!」分かってるのか!と、怒鳴り散らします。
具合の悪い女性を無理矢理立たせようとする三宅に、美子や鞠子はすっかり怯えてしまっています。
その時、「ちょっと待って下さい」常子は、思わず声を上げていました。
「何だと?」常子を睨みつける三宅。
常子は構わずつかつかと近づくと、三宅に対し決然と抗議します。
「演習が大切なのは・・よく分かります」しかし、これで具合を悪くして動けなくなり、肝心な時に助からなかったら、元も子もない。
ですが、「組長に異見するとは・・何事だ!」三宅は全く聞く耳を持ちません。
「俺は・・お国の訓令により組長を仰せつかったんだぞ・・それに楯突くということは・・お国に楯突くということか!!」
三宅の飛躍した論理に、反論しようとする常子ですが・・・
「よーし、分かった!良いだろう!ただし・・防空演習を休むなら非国民とみなし・・お前らの家の配給を一人分減らす!!」
あまりに一方的で理不尽な宣告に、狼狽える女性たち。
さらに、反論しようとする常子に対し、「貴様も同罪だ!」女性たちを唆したとして、配給は無しとする!一方的に言い放ちました。
鞠子と美子が思わず顔を見合わせ心配する中、「国民では無い奴に・・食わせる者など無い!」三宅が吐き捨てます。
「どうしたあ・・俺の決定に文句のある奴は・・言ってくれていいんだぞ!」勝ち誇る三宅。
自分の無力さに打ちひしがれる常子をよそに、「それは・・それは勘弁してください」倒れ込んだままの女性が、三宅の足元にすがりつきました。
やらせて下さい、お願いします・・地面にひれ伏し、必死に懇願しています。
そんな女性に対し、「分かった・・今回だけは大目に見てやる・・」三宅は一応落ち着いたのか、女性に持ち場に着くよう促します。
呆然と見つめる常子を、美子が下がらせようとした時、再び三宅の怒声が響き渡りました。
「おい待て!」二人を呼び止め、どけ!と常子を乱暴に押しやると、「何だこれは!」美子の腰に付けられた飾りを指さしました。
美子なりの”ささやかな心掛け”で、端切れから作った飾り。
「こんなものを付けて浮かれやがって・・・」怒りに声を震わせる三宅。
浮かれてなんか・・言いかける美子でしたが、「口答えをするな!!」かえって火に油を注ぐことに。
腰の飾りを乱暴にむしり取った三宅は、「兵隊さんたちが命を張って戦っているのに・・こんなことをして不謹慎だと思わんのか!!」美子を激しく罵倒します。
三宅の怒りは小橋家全体に向けられ、「家では花まで飾っているらしいなあ・・・」鞠子を睨みつつ、君子ににじり寄ります。
「母親であるお前が、目を光らせていないからだぞ!!」皆が戦っていることを忘れるな!・・怒鳴りつけ、プイッと顔を背けると、君子に向かって美子の飾りを突き付けます。
「分かりました・・・」頭を下げる君子。
「いいか!戦況が厳しくなっている中、日本が一丸となるために一層協力しあっていかなければならない!」
お互いが声を掛けあい、変化がないかいつも気にするように・・ほとんど絶叫のような三宅の訓示を、常子は虚ろな表情で聞いていました。
権威を笠に着て、ひたすら理不尽と言う他ない三宅の態度ですが、ちょっと意外に思ったのは、美子の腰からむしり取った飾りを君子に返したことです。
地面に投げ捨て、踏みつけそうな勢いだったのですが、最後の瞬間、少しだけ冷静さを取り戻しているようにも見えました。
隣組の主婦たちを前に、あたかも独裁者のように振る舞う三宅ですが、戦地にいる息子を思う父親として、様々な葛藤を抱えているのかもしれません。
頭に血が上ってどんどん攻撃的になっていった三宅は、君子に飾りを突き付けた瞬間、何を思っていたのでしょうか?
多少なりとも、自分の発言・行動を後悔する気持ちがあったのでしょうか?
そもそも三宅には、自分が余裕を失い周りが見えていないことに、自覚があるのか・・・
周りから恐れられ、思い通りにならない常子を相手に、ひたすら怒り狂う姿を見ていると、何だか哀れに思えてきます。
自分がこの組を守らなければならない、というある意味歪んだ正義感に突き動かされている、三宅自身も戦争の犠牲者と言えるかもしれません。
募る不信感
三宅に突き返された飾りを、じっと見つめる美子。
「かか・・怒られることしてごめんなさい」しょんぼりとした様子で謝ります。
美子は悪くないわ・・そう言った君子でしたが、これ以上騒ぎにならないよう、「外で付けるのは控えましょうか」と諭します。
「やっぱりあたし納得できない」ひとこと言ってくる・・常子は立ち上がろうとしますが・・・
慌てて鞠子が引き留め、「口答えすると配給を・・」減らされたらどうするのか、と言いかけますが常子は聞きません。
配給は均等に分けるべきもの、三宅のやり方を尚も批判します。
ですが、「組長はどこもそんな風らしいわよ」中には自分の家だけ配給を多くする者もいる、とのこと。
鞠子にしてみれば三宅は、強すぎる愛国心は問題としても、まだましと思えるようです。
「だからって、あの人の独断で決められるのは・・・」どうしても常子には納得できません。
そんな常子に対し、「とと姉はいつも真っ直ぐ過ぎるのよ!」とうとう鞠子が声を荒げてしまいました。
わざわざ揉めることも無いでしょう・・自分の事を、何とか説き伏せようとする鞠子を、常子が悲しそうな目で見つめています。
やり過ごすことで丸く収まるなら、その方がいい時もある、あくまで現実的な鞠子。
もう少し上手いやり方があったはず・・と考える鞠子に対し、常子はそれでは気が弱すぎる・・と非難の声を上げます。
二人の言い争いが次第に過熱していくのを、不安そうな表情で見守る美子。
「やめなさい!二人とも!」ついに、見かねた君子が止めに入ります。
「私たちが喧嘩してどうするの」うちでは穏やかに・・君子の言葉に、二人ともようやく我に返ったように謝るのでした。
喧嘩が収まったのを見て君子が安心していると、「ごめんくださいー」玄関から女性の声が。
君子が出てみると、近所の主婦・真中稲子が尋ねて来ていました。
「今日は大変だったわね・・・」慰めにもなんないんだけど・・と言いつつ、一つの卵を差し出しました。
「うちの鶏が産んだの!」嬉しそうに話し、良かったら・・と君子に卵を握らせます。
感謝する常子に対し、「色々大変だと思うけど・・恨まないであげてね」三宅を庇うようなことを。
どうやら、出征している息子からずっと届いていた手紙が、途絶えたらしいのです。
心中察するとねえ・・その声は、中に居る常子たちにも聞こえていました。
「同じ組なんだもの・・仲良くやりましょうよ」そう言って去って行きました。
「真中さんから・・卵頂いたの」嬉しそうに娘たちに報告する君子。
お隣さんが良い人でよかった・・素直に喜ぶ美子ですが、「そうかなあ・・・」鞠子が疑問の声を上げました。
ひょっとしたら監視に来たのかもしれない、と思わぬことを言い出します。
小橋家の中に花が活けてあることを、三宅が何故知っていたのか・・・
「もう・・誰を信じていいのか分からない・・・」鞠子は疑心暗鬼に陥り、常子や君子も複雑な表情を見せます。
みんな、同じように感じているのかもしれないわね・・隣同士で疑い合う状況に、嘆息する君子。
「そう思うと怖いですね・・・」常子がやるせない表情を見せます。
昔は良かったな・・美子の言葉を聞き、常子は深川での日々に思いを馳せました。
常子の卒業と就職、そして三姉妹の誕生祝を兼ねた宴で、隈井や清が飲んで踊って騒いだこと。
―――森田屋の皆はどうなったかなあ・・綾は・・清は・・隈井は・・星野は・・・
過ぎ去った日々を懐かしく思い返してしまうほど、常子たちは追い詰められていました
こんな時にさえ猪突猛進する常子を、現実的な考えの鞠子が窘め喧嘩になったようにも見えますが・・・
鞠子の常子に対する苛立ちは、ひょっとすると空襲の時に怖くて何も出来なかったことに対する、劣等感の裏返しなのかもしれません。
いつも真っ直ぐ過ぎる常子には、到底かなわない・・大学で学んだことを活かすことも出来ず、無力さを思い知らされた鞠子には、様々な苛立ちが募っているのではないでしょうか?
さらには、隣の真中稲子の事まで、自分たちを監視しているのではないかと疑い、鞠子の精神状態はかなり追い詰められているように思えます。
真面目な優等生の鞠子だけに、余計に色々なストレスを上手に受け流すことが出来なかったのかもしれません。
「やり過ごすことで丸く収まるなら、その方がいい時だってあるわ」という鞠子のセリフは、ギリギリの精神状態にある自分を、無意識に守ろうとするかのようでした。
そして常子も、そんな妹に対し”気が弱い”や”臆病”など、容赦ない言葉を浴びせかけ、精神的な余裕の無さを思わせます。
過去の思い出に浸る以外に、心が休まることがないのだとしたら・・常子も限界に近づいているのかもしれません。
とと姉ちゃん13週75話の感想まとめ
五反田の取り計らいにより、何とか失業を免れた常子ですが、戦争の影響は日々深刻さを増し、小橋家の暮らしを侵食してゆきます。
かつて、恩師の東堂チヨから言われた、”ささやかな心掛けが生む、小さな幸せの大切さ”を思い返す常子でしたが、美子の”ささやかな心掛け”が三宅に目を付けられることに。
まさに戦争の理不尽さを体現するかのように、暴言を浴びせ権力を振りかざす三宅ですが、出征した息子を心配するあまり、人が変わってしまったようなのです。
そんな三宅に食って掛かった常子ですが、果たして戦争が終わった後、両者の関係はどんな変化を見せるのでしょうか?
自分の不安を紛らわせるかのように周囲に当たり散らしている三宅と、反発を見せる常子が和解に至る日はやって来るのでしょうか?
以上、とと姉ちゃん13週75話のあらすじネタバレと感想でした!