とと姉ちゃん 10週56話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」10週56話のあらすじネタバレと感想です。
まずは10週55話の振り返りを少し。
タイピストとして働き始めて二年が過ぎた常子は、名実ともに小橋家の大黒柱になりましたが、美子は口うるさい常子に反発を覚えていました。
その頃世の中では、国による人や物の統制が始まり、国民は質素な生活を求められていました。
森田屋では、しばらく松弁当を作るのを見合わせることになり、待ちではパーマネントや風紀の乱れに対する視線が厳しくなってきています。
そんな中にあっても、常子は竹蔵の残した家訓を守るべく、就職以来再会した月に一度のお出掛けを大事にしていました。
しかし、年ごろを迎えた美子は徐々に常子と距離を取り始め、鞠子も文学同好会の活動を優先させるようになり・・・
とと姉ちゃん 10週56話のあらすじネタバレ
寒空の下で待つ常子
―――家訓である月に一度のお出掛けの日、約束の時間になっても鞠子と美子は姿を見せませんでした
小雨交じりの冷たい風が吹く中、常子と君子は約束のお寺で待ち続けていました。
美子が使っている歯の欠けた櫛や、鞠子のペン先が歪んでいる万年筆の事を気にかけ、新しいものを買ってあげよう・・そんなことを嬉しそうに話す常子。
「・・・にしても遅い!!」時計を見ると既に2時半・・ご機嫌斜めの常子を君子が宥めているところへ、ようやく鞠子が到着しました。
ごめんごめん・・と言いながら駆け寄ってくる鞠子を見て、遅い!と文句を言いながらも若干ホッとしている常子。
残すは美子のみ・・君子は、勉強会が長引いているのかと心配しています。
冷たい風の吹く中を走って来た鞠子は、どこか風の当たらない場所で待とうと提案しますが・・・
「・・・はぐれたら、よっちゃん可哀想だし・・・」常子は、約束したこの場所で待ち続けることに。
その頃、美子は滝子や女中たちと共に、小僧たちに与えるお仕着せを縫っていました。
隈井がお茶を運んできて、休憩を促しますが・・時計の針は既に3時を回っています。
常子たちは、何も知らないまま寒空の下でじっと美子を待ち続けていました。
そして、ようやくお仕着せを縫い終わり、貰った小僧たちも大喜びです。
こんな上等なもの・・故郷の親もきっと喜びます・・喜ぶ小僧たちに、粗相して汚したりするな・・と隈井が注意します。
滝子も満足そうにうなずくと、改めて手伝ってくれた美子に感謝しますが・・・
はにかんで控えめに首を振ると、「あ・・それじゃ・・失礼します」そそくさと青柳商店を後にします。
揃って頭を下げる小僧たち、やや不審そうに見送る滝子と隈井。
美子が外に出ると、冷たい雨が激しさを増していました。
仕事が忙しい中でも、妹たちの何気ない日常に気を配り、歯の欠けた櫛やペン先の歪んた万年筆を気に掛けていた常子。
小さな幸せを生むための、ささやかな心掛けだったのかもしれません。
常子は、妹たちにちょっとしたサプライズを仕掛けたかったのかもしれませんが、事前にきちんと話しておけば、行き違いになることもなかったのではないでしょうか?
特に、まだまだ幼さの残る美子には、常子の気遣いは上手く伝わっていません。
今のところ、常子の思いを知るのは君子のみですが・・・
「家訓なんかやめればいい!」美子の不満
その頃、森田屋ではまつが帳簿をつけながらため息をついていました。
「はあ・・・しかし、今年の売上は酷いもんだねえ・・・」おせちの注文も例年の半分、国による統制の影響で、白米も足りません。
文句を言っても仕方ない・・しばらくは踏ん張るしかない、と皆に言い聞かせるまつ。
贅沢は禁止・・とは言うものの、常子たちのお出掛けが気になる森田屋の面々。
「話しには聞いてたけどよ・・タイピストってやつは実入りがいいんだな」宗吉が羨ましそうに呟きます。
下手したら今の森田屋よりも儲けているかも・・そう言われて思わず想像してしまう一同。
と、そこへ・・「ただ今帰りましたあ」玄関から常子の声が響いてきました。
思いの外早い帰宅を、まつたちもややいぶかっています。
「美子帰ってませんか?」お茶の間に入るなり、確認する常子。
ずっとお寺で待っていた常子たちでしたが、とうとう美子は姿を現しませんでした。
勉強会も嘘と分かり、訳が分からないまま森田屋に戻ってきたのでした。
混乱し、おろおろする常子を目の当たりにし、森田屋の人々も美子を探しに飛び出して行きます。
全員が玄関を出て、手分けして探そうとし始めたその瞬間、美子が駆け寄ってきました。
「帰ってたのね・・・」ずっと走って来たのか、すっかり息が上がっている美子。
お寺に誰もいなかったので、百貨店にまで行ってみたというのですが・・・
「あなたを探しに帰って来たのよ!」どこ行ってたの・・と君子が問い詰めます。
「ごめんなさい・・お祖母様のところで小僧さん達のお仕着せ縫ってました」嘘がばれたのを知り、観念して本当の事を打ち明けました。
正直に言っても常子に反対される・・そう思って嘘をついた美子。
しかし、ずっと待たされ、心配させられた常子は納得できません。
「だけど終わらなかったんだもん・・御駄賃頂くんだから、ちゃんとやらなきゃって」分かってもらおうとする美子ですが・・・
「御駄賃のために家訓破ったの?」無駄遣いするための御駄賃欲しさに・・怒りを露わにする常子。
しかし、美子は・・「・・・もういい」話しても無駄と思ったのか、常子を無視して家に入ろうとします。
「待ちなさい!家訓破っといていい訳ないでしょ!」美子の腕を掴み、引き留めます。
ですが、「そんなに家訓って大事なの?」逆に怒り出す美子。
他の家に家訓なんかない、うちだけおかしい・・「家訓なんてやめればいいのに!!」今までの不満がついに爆発しました。
あまりの事にショックを受ける常子。
「家訓はととがずっと大切にしてきたことなのよ!」ととの代わりに二人の事を守ると約束した・・悲しそうな表情で常子が捲し立てます。
「約束したのはとと姉ちゃんでしょ!」私は約束なんかしてない・・美子の言葉に、常子も鞠子も、そして君子も黙り込んでしまいました。
「あたし小さかったから、ととの事もう思い出せないの」ととの話をされてもピンとこない美子。
それにあの頃と今とで状況も違う、ととが生きていたとしても家訓を続けていたか分からない。
「あたしももう子供じゃないんだから!!!」今まで溜まっていたものが、一気に噴き出す美子でしたが・・・
「いい加減にしなさい!!!」家訓を辞めるなんて、絶対に認めない・・美子を真っ直ぐ見据え、はっきり宣言する常子。
そこでようやく、見かねたまつたちが止めに入り、美子を中に下がらせます。
常子は一人で二階に上がり、自分を落ち着かせようとしています。
そこへ、娘を案じた君子が部屋に入ってきました。
「・・・怖い顔して」常子の隣に立った君子が声を掛けます。
「美子は、ずっと思ってたんでしょうか・・・」ととの事をあんな風に・・まだ怒りが収まりません。
竹蔵が亡くなった時、美子はまだ五歳・・仕方がないと諭す君子。
「それでも許せないんです・・」自分勝手に家族を振り回し、家訓まで要らないと言ったことが。
ジッと一点を見つめ、怒りに震える常子を悲しげな表情で見守る君子は・・・
その頃、鞠子は美子の話を聞いていました。
「何であんなことを」美子の言ったことは、鞠子にとってもショックでした。
「よっちゃんの気持ちも分かるけど、そもそも嘘をついたのが悪いんでしょ?」美子の気持ちを解きほぐそうとする鞠子。
あんないい方をして、私も悲しかったわ・・言葉が過ぎたことを諭しますが・・・
「だって本当のことだもん!」美子はあくまで頑なに、心を開こうとはしませんでした。
美子が”御駄賃”のために家訓を破った・・常子にとっては、その一言がどうしても許せなかったのでしょう。
常子から見れば美子はまだまだ子供、無駄遣いするための”御駄賃”を稼ぐため、家族を振り回したと思った瞬間、怒りが込み上げてきたのかもしれません。
職場のいじめに耐え、つらい時期を乗り越えて周囲から頼られる存在となったことで、お金を稼ぐ大変さを身に染みて分かっている常子。
その常子からみれば、甘やかしてくれる滝子の元で、得意の裁縫の腕を活かして”御駄賃”を稼ぐことなど、遊びの延長にしか思えないのかもしれません。
しかし、お仕着せを縫うのを手伝ったのは、美子なりに誰かの役に立ちたいと考えての行動だったのではないでしょうか?
”御駄賃”というのはあくまでも、仕事に対する責任感の象徴だったのかもしれません。
お互いに冷静に話し合えれば、理解する余地はあったのでしょうが、聞く耳を持とうとしない常子に対し、「家訓なんてやめればいいのに!!」と、美子がそれまでの不満を爆発させてしまいます。
後はお互いに、激しく感情をぶつけあい、非難し合うという最悪の展開に。
君子や鞠子が、何とか間に立って二人を落ち着かせようとしますが・・なかなか難しい状況です。
溝は埋まらず・・・
昭和十五年正月・・年が明けても、常子と美子の間には溝が出来たままでした。
小橋家の四人と森田屋の人々が、揃って新年のあいさつを交わすなか、二人は口を利くことも目を合わせることもありません。
「そうですが・・美子さんがそんな事を・・・」常子は武蔵に相談することにしました。
「悲しかったです」父が大切にしていた家訓だったのに・・素直に心情を吐露する常子。
新年早々、故郷から戻ったばかりの武蔵に、思わず愚痴をこぼしてしまいます。
「僕を作物だと思ってください」肥料をやるつもりで、ドンドン言いたいことを・・と、愚痴を引き受ける武蔵。
それを聞き、思わず笑ってしまう常子。
”僕を作物だと・・・”などと、真面目な顔で言った武蔵が、可笑しくて仕方ないようです。
久しぶりに、本当に可笑しそうに、武蔵と笑い合うのでした。
その頃、美子は部屋で一人編み物で時間を潰していました。
その視線は、自然と壁に掛けられた”家訓”の額へと向けられます。
翌日、会社に出てきた常子はかをるにも相談してみました。
「じゃあ、妹さんとはずっと口を利いてないの?」かをるが尋ねます。
あの子も意地っ張りで・・苦笑いしながら話す常子ですが、武蔵に話したことで大分スッキリしたようです。
「不思議なんですよね・・あの方とお話していると・・・」
武蔵と話していると、悩んでいることがどうでも良くなってしまう・・美子ともう一度話してみようと思う常子。
「やっぱり・・小橋さんの恋のお相手は・・・」”日曜日の殿方”なのね、とかをる。
慌てて否定する常子でしたが・・・
「あの・・お尋ねしたいんですが・・・」不意に、見知らぬ女が話しかけてきました。
タイプ室の場所を尋ねる女に、不思議に思いながらも常子が教えます。
女はタイプ室のドアをガチャっと開くと、黙って中に入りタイピストたちを見回しています。
「何か、ご用でしょうか?」不審に思い訪ねる早乙女。
「諸橋道子さんという方は・・どなた?」唐突に名前を呼ばれた道子が前に出ます。
すると、「この・・泥棒猫!」言うが早いか、道子に掴みかかってきました。
「奥様!落ち着いてください!ここは厳粛な仕事場ですから」慌てて早乙女が止めに入ります。
「人の亭主寝取るのが、厳粛な仕事場でやることなの!」道子の髪を掴んで引っ張りまわす女。
女の正体は、営業課の社員の妻でした。
「この女があたしの亭主寝取ったのよ!」騒ぎに気付いて駆けつけた常子の前で、尚も道子を罵倒し続けます。
混乱を極めるタイプ室。
さらに、課長の山岸もやって来て止めようとしますが、女は絶叫して抵抗を続けるのでした。
「怪しいと思ったのよね・・・」ようやく騒動が治まり、部屋の後片付けに追われる常子たちですが、タイプ室の女たちは道子の不倫の噂で持ち切りです。
「仕事中です。口ではなく手を動かしなさい」ウンザリしたように、早乙女が命じます。
そこへ、ようやく道子が戻ってきました。
一斉に道子に視線が注がれる中、「諸橋さん・・課長はなんと?」処遇について尋ねる早乙女。
「今日付けで退社することになりました」無理に笑顔を作り答えると、黙って見つめる同僚たちに頭を下げる道子。
「本当にそれでいいんですか?」一方的な決定に納得がいかない常子は、私が課長に・・と、言いかけますが・・・
「あなたも首になるつもり!」早乙女に厳しく止められてしまいました。
黙って立ち去る道子。
女性社員の代わりはいくらでもいる、首にすることなど何とも思っていない・・早乙女が改めて厳しい現実を突き付けます。
常子は一言も反論できませんでした。
なかなか埋まらない美子との溝を、武蔵に相談する常子ですが、確かに武蔵ならば、美子も心を開いてくれそうな気がしますね。
”ととの家訓”について、常子が最も思い入れが強いようですが、君子と鞠子も当然それぞれの思いがあるはず。
美子にしてみれば、”家訓”を巡って一人疎外感を味わっているのかもしれません。
だとすれば、君子や鞠子では美子の頑なな心を解きほぐすのは難しいのではないでしょうか?
美子としても、赤の他人である武蔵ならば”家訓”に対する自分の言い分を公平に聞いてくれる、と期待できる部分がありそうです。
さて、美子との溝が埋まらないことに悩む常子ですが、職場では新たな問題が発生してしまいます。
突然の不倫疑惑によって、諸橋道子が首になってしまいます。
紆余曲折を経て、今では常子ともすっかり打ち解け、頼りになる同僚と言った雰囲気だったのですが・・・
まさか、こんな形で職場を追われることになろうとは・・常子も改めて自分たちの弱い立場を思い知らされ、ショックを受けたようです。
降ってわいたようなこの事件、今後の展開にどんな影響を及ぼしていくのでしょうか?
とと姉ちゃん10週56話の感想まとめ
美子のために新しい櫛を買ってやりたい・・楽しそうに君子と話しながら、寒空の下で待ち続けた常子でしたが、結果的に美子に裏切られることに。
常子にしてみれば、美子が”御駄賃”のために、家訓を破ったと映ったのでしたが、美子にとっては引き受けた以上は責任を持ってやり遂げたい・・との思いがあったのではないでしょうか?
深刻な溝が生じてしまった姉妹・・常子の方は武蔵に話を聞いてもらい、少しずつ落ち着きを取り戻しているようですが、美子の頑なな姿に変化は見られません。
小橋家の家訓と、亡きととへの思いにズレが見られる常子と美子に、君子や鞠子、森田屋の人々はどう向き合っていくのでしょうか?
そして、美子が尊敬と信頼を寄せる滝子は、美子の頑なな心を解きほぐすことが出来るでしょうか?
以上、とと姉ちゃん10週56話のあらすじネタバレと感想でした!