とと姉ちゃん 13週76話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」13週76話のあらすじネタバレと感想です。
まずは13週75話の振り返りを少し。
赤紙が届いた五反田は、常子に社判を託し甲東出版が存続できるよう手を尽くしたうえで、「戦争が終わった後は、どんな雑誌にするか、考えておいてくれないか」そう言い残し、出征していきました。
その後も、戦争は確実に小橋家の暮しを侵食し始め、乏しい配給に加え繰り返される空襲警報に、常子たちは疲弊していきます。
しかし、そんな中でも「穏やかな心持で暮らせるように・・・」という、君子の言葉に従う常子たちでしたが・・・
参加した防空演習で、権力を笠に着る隣組の組長・三宅の理不尽さに憤りを覚えた常子は、思わず抗議の声を上げてしまいます。
三宅はそんな常子に対し、配給を減らす・・と脅しをかけ、常子を助けに入った美子にまで難癖をつけ、さらにはこの件で鞠子とも激しい喧嘩になってしまうのでした。
とと姉ちゃん 13週76話のあらすじネタバレ
誕生祝の日に
昭和二十年三月九日・・「ありがとうございました」帰っていく客に向かって、頭を下げる常子。
甲東出版の貸本業は順調に客足を伸ばしていました。
一人の客が帰ると、またすぐに次の客が・・「いや・・この本・・なかなか面白かった」満足げな様子の客に、常子も笑顔になります。
大っぴらに羽目を外すことは出来ないご時世ですが、本を読んでかってに楽しむ分には誰も咎めない・・・
常子も、自分の仕事が必要とされていることに、やりがいを感じるのでした。
「おや、早じまいかい?」帰る支度が整っていることに気付いた客が、常子に尋ねました。
実は今日、お誕生日のお祝いが・・ちょっと浮かれ気分で答える常子。
「私と一番下の妹が明日で、真ん中の妹が五日なんです」小橋家ではこの時期、まとめて三姉妹の誕生祝をするのが慣例です。
それはそれはおめでとう・・客も和やかな話を聞き、祝福します。
「楽しい席になるといいね」客からも祝ってもらい、上機嫌の常子でしたが、その帰り道で突然美子が・・・
「とと姉ちゃん!大変なの!組長さんが!」血相を変えて常子に駆け寄り、抱えるように引っ張っていきました。
その頃、小橋家では突然乗り込んできた三宅が、家中の鍋や釜を掻き集めていました。
「それじゃ、ここにある物は全て、この家から運び出す」分かったな・・うな垂れる君子に、三宅が宣告します。
間違いなく供出するように・・三宅がそう告げた時、ようやく常子が戻ってきました。
「何されてるんですか?」目の前の光景に、警戒感を露わにして尋ねる常子。
「軍からお達しがあってな・・現在金属が益々必要となってきているそうだ・・・」
必需品でなければ協力して頂く・・有無を言わさぬ態度で、三宅が迫ります。
常子も協力することはやむを得ないと思っているものの、強引なやり方に不満が滲みます。
ですが、「またお前は・・楯突くつもりか!」凄んでくる三宅を見て、不満を押し殺すしかありません。
「他に何か、供出出来る物はないか!」常子が引き下がったことに満足した三宅は、勝手に家の中を探し回ります。
黙ってその様子を見守るしかない常子たち。
「おい・・此処にあるのは何だ?」三宅は部屋の隅に置かれていたミシンを、目ざとく見つけました。
「立派なミシンだな・・これは必需品か?こんなもんがあるからモンペに細工なんかするんだ」
話を蒸し返す三宅に、常子が抗議しかけますが・・・
「お国の為であるぞ!日本国民なら持って行ってくださいと言うべきだろう!違うか!!」
一方的に怒鳴り散らす三宅に、君子の顔にも悔しさがにじみます。
「最前線では皆、命を懸けて戦っている!少しでもお役にたてるようにするのが我々の役目だ!戦いを忘れるな!」分かったか!!益々興奮して、手に負えない三宅。
そして、とうとう小橋家の家訓に目を付けました。
「月に一度家族皆でお出掛け・・・」突然、家訓の額に手を掛けると、「何がお出掛けだ!」乱暴に引っ張り下ろします。
慌てて取り戻そうとする常子ですが、「この非常時にこんなものを掲げやがって!」三宅は怒りが収まりません。
「それは我が家の家訓なんです!」強く抗議する常子ですが、「家訓?家訓に何の意味がある?」三宅の怒りが頂点に達しました。
「掲げるなら”贅沢は敵だ”にしろ!非国民が!!」そう叫ぶと、乱暴に家訓を投げ捨てます。
慌てて家訓の額に駆け寄り、こみ上げる怒りに身を震わせる常子。
「どうした・・文句があるなら言ってみろ!」見下した態度の三宅に、それでもじっと我慢する常子は「いえ・・何も・・・」そう答えるしかありませんでした。
が、その時「・・・いい加減にしてください」ついに鞠子が怒りの声を上げました。
「私たちだって、戦いを忘れていません!非常時だからこそ・・身だしなみを正すことで、心を正すのではありませんか!」
そして鞠子は、三宅の国民服がピシリとしていることを指摘し、「国民服にきちんとアイロンを当てて、心を正していらっしゃるからではないですか!」三宅の見解を質します。
「私たちはこのミシンで身だしなみを整えているつもりです」私たちも一緒に戦っている・・堂々と反論する鞠子。
三宅はしばらく考えた後、「戦うことを忘れていないのなら・・今回は良しとする」一応、鞠子の理屈を認めました。
「ただし、その家訓だけは何とかしろ!!」そう吐き捨てると、ようやく小橋家から去って行きました。
意外な芯の強さを見せた鞠子ですが、権力を笠に着て常子を強引にねじ伏せた三宅を、何故言い負かすことが出来たのでしょうか?
常子は、三宅のやり方に正面から異論を唱え、結果的に激しい反発を招いてしまいました。
硬直化した思考の持ち主に対し、公衆の面前で非難するような真似をすれば、例えそれが正論だったとしても、無用な争いに繋がってしまう。
”いつも真っ直ぐ過ぎる”と鞠子から批判されていましたが、常子の性格のマイナスの面が出てしまったのだと思います。
対して鞠子は、ある意味で三宅の姿勢を認め、自分たちもその考え方に沿った行動を取っている、とアピールした訳です。
常子にはない柔軟さを発揮し、相手の土俵の上で戦ったからこそ、三宅も引き下がらざるを得なかったのではないでしょうか。
空襲の時、常子に代わって家族を守ろうとしたものの力が及ばず、自分の無力さに打ちひしがれた鞠子ですが、なにも常子と比較して落ち込む必要はありません。
鞠子なりのやり方で、十分に家族を支えることが出来るのですから。
焼夷弾攻撃に怯える美子
「驚いた・・まさか鞠ちゃんが組長さんに」三宅が帰ってひと段落つくと、軽い溜息と共に常子が声を掛けました。
「だから言ったでしょ・・私だって・・言う時は言うんです!」ちょっとムキになる鞠子。
ごめん・・常子が可笑しそうに謝ると、一気に緊張の糸が緩んだように、皆に笑顔が広がります。
「家訓は・・しばらく押入れに入れときましょうか・・・」改めて君子が口を開きました。
やっぱり、今日のお祝いは中止ですか?・・美子が君子に向き直り、心配そうに尋ねます。
これ以上三宅に目を付けられないよう、「その方がいいかもね・・・」君子に代わって常子が答えました。
ガッカリする美子ですが、「今日は駄目でも・・明日はしましょう」君子は、諦めた訳ではありません。
「結果としては良かったかもしれないわ・・・」浮かれる美子に、意味ありげに呟く君子。
明日の方が美味しく作れるから・・君子の言葉に、何の事か分からない常子がキョトンとしています。
「ほ~ら~・・・」君子が袋から小さな笊にあけたのは、両手ですくえる程の小豆でした。
方々回って手に入れたの、あなた達のお祝いに・・驚く娘たちを前に、君子はちょっと得意気。
「じゃ・・もしかしてこれ・・・」美子は期待に胸を膨らませます。
すると、「お・は・ぎ、よ!」君子は、美子に向かって教えてあげました。
「また、かかのおはぎが食べられるなんて・・・」思わず歓声を上げた常子は、顔がにやけてしまいます。
そして常子が、ふと美子を見ると・・目を瞑り想像を膨らませているところでした。
話しかける常子を手で制し、口をあんぐりと開き両手でおはぎを持ち上げるような動作を。
明日になれば食べられるのに・・もう、食いしん坊なんだから・・姉たちに茶化され、思わず吹き出す美子。
―――こうして、夜中まで小豆を煮込み、おはぎを作ることになりました
「大体煮えたわね・・・」鍋の中の小豆が焦げ付かないよう、しゃもじで混ぜながら君子が呟きました。
「匂いを嗅いでるだけで幸せな気分・・・」胸がいっぱい・・といった様子の美子の言葉に、鞠子も頷きます。
鍋の中を覗き込み、匂いを嗅いでいる三姉妹に、もう遅いから続きは明日に・・君子が早く休むよう促しました。
「・・・火の始末は私がしておきますから」常子が後を引き受け、君子たちは寝る支度にかかります。
鍋を七輪からおろし、火ばさみで炭を取り出す常子。
その時・・突然、空襲警報が鳴り響きました。
ギョッとした常子は、慌てて鍋を七輪の上に戻し、君子と共に避難します。
真っ暗な庭に出ると、空襲警報がより一層大きな音で響き渡っています。
「警戒警報・・鳴らなかったよね・・・」これまでと違い、いきなり空襲警報が鳴ったことに不安を覚える鞠子。
「この空襲・・いつもと違うわ・・・」常子が呟くと同時に防空壕の明かりが消え、家族四人は思わず身を寄せ合うのでした。
―――昭和二十年三月十日午前零時八分、米軍による焼夷弾攻撃が開始されました
「やっぱりいつもと違うよ・・いつもこんな大きな音しないもん!」怯える美子。
「こっち来ないよね・・ねえ・・私たちどうなるの!」混乱する美子に、「大きな声出さないで!」鞠子が厳しく注意します。
―――東京にはB29爆撃機およそ300機が飛来し、爆撃は下町を中心に2時間あまり続きました
妹たちをしっかり抱き寄せ、恐怖に耐える常子。
三姉妹の誕生祝のため、貴重な小豆を手に入れた君子ですが、この時代を考えると相当な苦労があったはず。
ですが、常子たちの前ではそんな苦労は微塵も見せず、嬉しそうに小豆を披露する姿からは、むしろ娘たち以上の無邪気さを感じさせますね。
そんな君子を一番喜ばせたのは、やはりもっとも無邪気な美子の食いしん坊ぶりだと思います。
早くもおはぎを食べる自分を想像し、幸せ感いっぱいの美子を見ていると、戦時中の重苦しい雰囲気もいっぺんに吹っ飛んでしまいますね。
しかし、小橋家の四人が感じる小さな幸せは、突然の空襲警報によってあっけなく引き裂かれてしまいます。
直前まで、鍋から立ち上る小豆の匂いを胸いっぱいに吸い込み、ほんの束の間戦争の現実を忘れていた常子たちの姿と、防空壕で肩を寄せ合い怯える姿の甚だしい落差。
否応なしに、戦争の理不尽さを感じずにはいられませんでした。
次に泣くのは嬉しい時・・・
ようやくあたりが静まり、常子が防空壕の外に出てみると、辺りはすっかり明るくなっていました。
見る限り家にも大きな被害は無いようです。
しかし、台所に入って小豆を入れた鍋の蓋を開けてみると、真っ黒に焦げてしまっていました。
「七輪に残り火があったのね・・・」力なく呟く鞠子。
せっかく、かかが貰ってきてくれた小豆だったのに・・責任を感じる常子でしたが、仕方のない事です。
君子も鞠子も常子を慰めますが、唐突に美子が泣き出してしまいます。
「美子・・泣くのはもう止めましょう」君子が、毅然とした表情で告げました。
せっかくのお誕生日だったのに・・尚もやり場のない怒りに身を震わせる美子でしたが、「生きていることに・・感謝しなきゃ・・・」繰り返し、君子が諭します。
「いい、みんな。今日から・・泣くのは禁止します。次に泣くのは・・嬉しい時。嬉しくて泣けるときまで・・涙は我慢しましょう」
静かに語る君子を真っ直ぐに見つめて、「はい・・・」と常子が頷き、憔悴しきった鞠子も君子を見つめ頷きます。
そして、今まで泣いていた美子も、二人の姉に続き「はい」短く答えるのでした。
ようやく立ち直った美子を見て、常子も安心したように穏やかな表情を見せます。
その後、常子は美子と共に配給を受け取りにやって来ました。
しかし・・「あれ?今日の配給、欠配かな・・・」ひとっこ一人いません。
「すみませーん!」まるで人の気配がないことを不審に思った常子が、配給場所になっている八百屋の奥に声を掛けます。
その時、「常子ちゃん!」同じ組の真中稲子と工藤せつの二人が、駆けつけてきました。
「・・・夜中の空襲のせいでしばらく配給は無いかもしれないって」常子の知らないところで、大きな被害があったようです。
「下町じゃほとんど焼野原らしいわ・・・」”焼野原”という言葉に、衝撃を受ける常子。
さらには、「特に深川の方は酷いみたいよ!」木材を多く扱う深川一帯は、殆ど燃えてしまったというのです。
常子も、そして美子も絶句するしかありませんでした。
―――この日、東京だけでおよそ二十六万戸の家屋が焼失し、死者は十万人に及んだとも言われています
「もしあのまま、森田屋さんも青柳もあって、私たちもまだ住んでいたら・・どうなってたんだろう・・・」
重い足取りで家に帰る道すがら、美子がポツリポツリと不安な気持ちを口にします。
―――ほんの僅かな差で自分たちは生きているだけ・・簡単に人は死に、自分たちも例外でないことを、否応なしに気付かされたのです
「とと姉ちゃん!」ぼんやりと歩く常子に、突然美子が声を掛けました。
見るとそこには、空襲で焼け出された人々の姿が。
その中に、ぐずる幼子の手を引く少女がいました。
振り返った少女の顔に、常子は見覚えがありました。
それは、かつてビアホールで酔っ払いに絡まれていた時に、常子の事を助けてくれたお竜だったのです。
「お竜さん?」見る影もなく、ぼろ雑巾のようにやつれているかつての恩人に、常子は思わず駆け寄っていました。
「嬉しくて泣けるときまで・・涙は我慢しましょう」毅然として娘たちに告げる、君子の表情がとても印象的でした。
普段、柔和な表情で娘たちの語りかけることの多い君子ですが、深く傷ついた美子を前にこれまでと違った一面を見せてくれました。
「生きていることに・・感謝しなきゃ・・・」そう言って美子を諭した君子ですが、いつもとは様子の違う空襲を経験し、何か不吉なものを感じ取ったのかもしれません。
母親として、戦争が終わるまで娘たちを守り抜かなければならない、そう思った時に強い決意が固まったのではないでしょうか。
そして、常子は・・そんな君子の姿に安心感を覚えつつ、深川一帯が焼野原になってしまったらしいと聞き、大変なショックを受けてしまいます。
森田屋の人々や滝子との別れが、あれほど辛い経験だったにも関わらず、結果としてそれが自分たちの命を救うことになった・・・
”禍福は糾える縄の如し”と言いますが、皮肉な現実を前に常子の心中は、複雑な思いが交錯しているはずです。
そんな常子の前に、かつて危ないところを助けてくれたお竜が、変わり果てた姿で現れるのですが・・・
とと姉ちゃん13週76話の感想まとめ
「嬉しくて泣けるときまで、涙は我慢しましょう」繰り返される戦争による理不尽さに、心が折れそうになっている娘たちにかけた、君子の言葉。
これほどまでの困難な状況の中にあっても、常子たちを優しく見守る芯の強い母親の姿に、安心感を覚えました。
そして、鞠子が見せた意外な一面・・常子のように猪突猛進ではなく、理路整然と三宅に詰め寄る様子が、何だか頼もしく思えますね。
せっかく君子が集めた小豆が台無しになるという、思わぬ不運に見舞われたものの、大きな被害を出すことなく空襲をやり過ごした常子たち。
しかし、空襲で焼け出された人々の中に、昔助けてくれたお竜の姿を見つけ・・その時、常子は一体どうするのでしょうか?
以上、とと姉ちゃん13週76話のあらすじネタバレと感想でした!