とと姉ちゃん 15週86話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」15週86話のあらすじネタバレと感想です。
まずは15週85話の振り返りを少し。
妹たちと共に再び雑誌作りに取り組むことを決意した常子は、五反田の紹介で花山に助言をもらおうと考え、家を訪ねることに。
しかし花山は、「読者を想像できていない!」と”スタアの装ひ”を散々に酷評し、常子を追い返すのでした。
”二度とペンは握らない”・・五反田にそう語った花山を、何とか編集長に迎えたいと考えた常子は、今度は花山の働くコーヒー屋へと向かいます。
「また君か・・・」ウンザリする花山を説得しようとする常子ですが、「帰れ!」、「帰りません!」と激しいやり取りになってしまいました。
「何も話す気はない!出て行け!!」と怒鳴り散らすものの、テコでも動かない構えの常子を見て、花山は「君が帰らんのなら私が帰る!」そう言って店を出て行ってしまうのでした。
とと姉ちゃん 15週86話のあらすじネタバレ
関元の話
「二度とペンを握らないのは何故なんですか?」率直に疑問をぶつける常子でしたが、花山は「帰れ!・・出て行け!・・」と繰り返すばかり。
ついに苛立ちが頂点に達し店を出て行く花山を、常子は呆然と見送ることしか出来ませんでした。
「どうぞ・・・」取り残された常子に、店の従業員・関元和四朗がコーヒーを出してくれました。
「あ・・美味しいです」コーヒーを飲んで一息つく常子を、関元が見守ります。
時々腰が痛むんだよ・・そう言って椅子に座る関元。
「お二人は・・どういう?」常子は、関元に花山との関係を尋ねました。
ちょっと戸惑った関元でしたが、「・・・息子と彼がね、戦友だったんだ」過去を振り返り始めました。
陸軍の同じ部隊で、入隊以来何故か気が合ったそうだ・・そう言って常子に向かってニッコリと笑って見せます。
花山は、帝大出身ながら幹部候補生を志願せず、関元の息子と同じただの二等兵から始めて、相当な苦労があったようです。
「猛訓練でメッチャクチャに・・兵隊たちが死んでも、すぐに・・代わりの兵隊が来る」話しながら、時折表情を曇らせる関元。
一銭五厘の葉書一枚で替えはいくらでも集まる・・とことん酷い扱いを受けたといいます。
そんな過酷な環境の中で、関元の息子と花山は絆を深めたということですが、花山は満洲で結核に罹り病気除隊に。
「その時・・息子や戦友たちを残して、一人帰国することに・・後ろめたさを感じていたらしい・・・」
関元がため息交じりに話す様子を、じっと見つめる常子。
内地に戻った花山は、少しでもお国のために役立とうと、内務省の宣伝の仕事を引き受けた・・とのこと。
「花山君が内地に戻った後・・息子も、満期除隊になって・・ひとたびは・・帰って来たんだ」
息子が戻った話をする関元の表情が穏やかに見え、常子も少しホッとしたような気持ちになります。
そんな縁で、花山は戦争が終わった後、「この店を手伝ってくれないか」と関元を誘ったのでした。
「きっと・・身寄りのない・・僕を案じて、声を掛けてくれたんだろう・・・」
淡々と話を続ける関元でしたが、常子は”身寄りのない”という言葉が引っ掛かりました。
常子が不審そうにしているのに気付いた関元が、「息子は・・結局、戦死したんだ」と再び話し始めます。
「除隊後一年で再召集され、南方で・・・」時折俯き加減になる関元を、悲しそうに見つめる常子。
「一銭五厘の命だが・・僕にとっては、かけがえのない・・ただ一人の息子だった」
終戦後、花山はすぐに弔問に訪れ、関元の息子の遺影を前にずっと泣いていたというのです。
「その時に・・彼が言ったんだ・・八月十五日、全てに気付いた・・と」初めて泣いている姿を見せた花山は、そう言ったのでした。
「八月十五日・・何に気付いたんですか?」常子が思わず尋ねますが、「その時は・・とても、聞く気にはなれなかった」辛そうに語る関元に、常子もそれ以上聞けませんでした。
その日の夜、家に戻った常子は、かつて花山に描いて貰った挿絵をじっと見つめていました。
戦争で気の合う友人を失うということがどんなことか、現代ではなかなか想像することが難しい話です。
お国のために・・と尽くしても、一人一人の兵隊は一銭五厘でいくらでも替えの利く存在としか思われていなかった。
花山は、戦友の遺影を前にそんな冷酷な現実を思い知ったのでしょうか。
戦地で苦労する仲間に対する後ろめたさから、戦意高揚のための宣伝の仕事に携わったものの、自らの関わった宣伝が人々を戦争に駆り立てていたことに、気付いたのかもしれません。
結核に罹って除隊されたという事情はあるにせよ、安全な場所から戦争を煽っていた、という罪悪感に苛まれたのだと思います。
八月十五日の敗戦によって、それまで正しいと信じていた価値観が全てひっくり返り、厳しい現実を突き付けられた時、それまで見ないようにしてきた不都合なものが、押し寄せてきたのかもしれません。
結局、それまで自分がやってきたことを全否定することで、何とか精神のバランスを保っているのではないでしょうか?
諦めたくありません・・常子の思い
―――鞠子と美子は闇市の一角に場所を見つけ、売れ残った雑誌を売り出したのですが・・・
「”スタアの装ひ”です。いかがですか?」必死に通行人に声を掛けますが、誰も見向きもしません。
「まさか半額近く値下げしても売れないなんて・・・」力なく呟く美子。
「まだ定着してないからよ」ここで売り続ければ、何れは売れるようになる・・鞠子はそう考えますが、美子は懐疑的です。
闇市の空いた一角に場所を構え、自分たちで売るならば手間賃も掛かりません。
何とか少しでも利益を上げようとする鞠子でしたが、「お姉ちゃんたち!」不意に声を掛けてくる二人の男たちが。
「何売ってんの?」そう尋ねられ、雑誌を売り込もうとする美子。
「こちら、売れに売れている”スタアの装ひ”という雑誌でして・・今なら何と、大特価の四円で!」
勢い込んで売り込みを掛ける鞠子を、苦笑いしながら男が見ています。
「売るんだったらよお・・ショバ代払ってもらおう」大柄な男が凄んできました。
「ここの決まりは分かってるよね」もう一人が、とりあえず売れた分のお金を・・と要求します。
場所代を支払って店を出すのが闇市のしきたり。
しかし、景気の良い謳い文句を並べてみたものの、「いや・・売れてないんです・・・」鞠子は、ばつが悪そうに答えるしかありません。
実際には全く売れておらず、支払える金など持ち合わせていない鞠子たちですが、そんな事でチンピラたちが納得するはずもなく・・・
「いいから、金出して」チンピラは繰り返し金銭を要求してきます。
ところがその時、「見逃してください」不意にか細い男の声が。
怪訝そうな表情を浮かべ、チンピラたちが声のした方に視線を向けると、「お願いします。今回だけは」そう言って頭を下る男がいました。
男が顔を上げると・・「あ!水田さん!」驚くと同時に、ホッとする鞠子。
僕が言って聞かせます・・何とかその場を取り成そうとする水田に、「仕方ねえなあ・・こいつに免じて許してやるよ」チンピラは渋い顔をしながらも、引き下がることに。
「けど・・次やったら容赦しねえからな」最後に捨て台詞を残し、去って行きました。
ホッと肩をなでおろす鞠子と美子でしたが、「駄目じゃないですか・・勝手に店出しちゃ・・・」今度は水田が説教を始めます。
「すみません・・知らなかったもので」恐縮して頭を下げる鞠子。
水田はそんな鞠子に対し、闇市のしきたりについて話して聞かせることに。
「いいですか?まず、露天組合の入会金として十円かかります」
そこに組合費が月三円、支部費が月三円、一日のゴミ銭として一円、道路占有税が一円、直接税が五十銭~二円。
「つまり最低でも・・三十七円が月々掛かる訳です・・・」早口で捲し立てる水田。
三十七円という金額に、美子は驚きを隠せません。
「別の輩に絡まれないうちに、引き上げてください」さすがの水田も、これ以上面倒を起こされては庇いきれないようです。
しかし、「でも・・この本売らないと・・・」大量に在庫を抱えそう簡単に引き下がれないなか、美子も粘ります。
渋い表情を見せる水田でしたが、「お金を作らないと、次の雑誌を出せないんです」鞠子から、何とかなりませんか・・と迫られ・・・
「・・・分かりました!格安で置かせてくれる露店を、探してみましょう!」突然、凛々しくなる水田。
ですが・・「ありがとうございます!」鞠子から笑顔で感謝されると、途端に表情がにやけてしまうのでした。
一方で常子は、再び五反田に会って花山の事を相談することに。
「戦争が終わって・・花山さんは思うところあって、ペンを置くことにしたのか」常子の話を聞き、事情を察する五反田。
常子がこのまま花山の事を諦めるのか、五反田にはそれが気に掛かります。
しかし、どうするつもりかと問われても、常子もなかなか答えを見いだせません。
そんな常子に対し、「僕は・・あの人にこの業界に残ってほしいんだ・・だから、花山さんに・・助言を貰うように言ったのさ」五反田は意外な事を言い出しました。
驚く常子に、「勿論、君の役に立つと思ったからでもある」そう前置きしたうえで、「花山さんの心を変えるきっかけにもなると思ったんだ」と本音を語りました。
何故、自分が助言を貰いに行けば花山が変わるのか・・いま一つ理解できない常子。
「君の事・・憶えてたんだ」五反田は、常子を真っ直ぐ見つめて言いました。
「人を貶すことしか知らないあの人は、昔から・・興味のない人間にはとことん冷たいんだよ」
その花山が、常子の事は憶えていました。
裸足で走るなんて面白い女だってさ・・若干、馬鹿にしているようにも聞こえます。
「ああ・・その事ですか」苦笑いする常子に、「・・・私のイジワルにめげず、食らいついてきた。良い根性してる」と花山が評価していたと話す五反田。
「だから・・まだ、諦めるのは早いんじゃない?」五反田曰く、花山も心のどこかでは、常子が食らいついてくるのを待ってるんじゃないか・・・
しかし、「今回は・・本気で帰れ!と仰っていました」常子は、少し自信を失っていました。
ですが、五反田と話すうち気持ちに変化があったらしく、「でも・・私、諦めたくありません」そう言って、五反田を真っ直ぐ見つめるのでした。
「憲兵を呼ぶぞ!」と脅して常子を追い返そうとしたり、「本当に帰る奴があるか」と帰ろうとする常子を引き留めたり、帰れと言われても説得するのが有能な編集者・・と言ってみたり。
あれはやはりイジワルだったのか・・と今更ながらですが、常子は花山の面倒臭さを再認識したのでした。
五反田は、常子が食らいついてくるのを花山が待っている・・と考えているようですが、それではまるで構ってちゃん・・・
”興味のない人間にはとことん冷たい”という花山は、果たして常子に何を求めているのでしょうか?
猪突猛進の常子を見て、単に面白がっているだけ・・ということはないと思いますが。
常子も本心では迷惑がっているのでは?と思わないでもないですが、しかし、常子には出版事業の立て直しのため、どうしても花山の力が必要な事情が。
五反田の気持ちを汲んで・・という考えも何処かにはあるのか、常子は再び花山に向き合う決意を固めるのでした。
それはさて置き、ピンチの鞠子を救った水田ですが、意外と頼りになる存在だったようです。
低姿勢ながらチンピラ相手にしっかり渡り合う交渉力は、今後常子たちの大きな力になることが予想されますが、鞠子相手に見せるにやけ面からは若干の不安も感じられます。
やはり鞠子が手のひらの上で転がしながら、上手に動かしていくのでしょうか?
再び花山を訪ねる常子
花山は、コーヒー屋の壁に掛けてある絵が真っ直ぐになっているか、気になっていました。
念入りににずれを調整し、少し離れて確認すると「よし!」と、指さし確認を終えます。
が、今度はテーブルの配置がややずれているのに気付いてしまいました。
「はあ・・・」大きなため息をつくと、壁に対して平行になるよう、慎重に位置を直します。
そこへ関元が現れ、「ちょっと、買い出しに行ってくるね」そう言ってカバンを手に、出掛ける準備を始めます。
お願いします・・振り向いて答えた花山に、「・・・後でやっとくよ」関元が声を掛けますが・・・
「いえ、すぐやらないと落ち着かないんです。傾いていたり、配置が乱れていると気になってしまって・・・」
一心不乱に机を整える花山に、「昨日のあの娘・・」改めて関元が常子の話を切り出しました。
唐突なことにちょっと驚き、花山が振り返りました。
「なかなか面白い娘だね・・花山君も、そう思ってんだろ?」見透かしたような関元の言葉に、少し慌てる花山。
ふふふ・・いかにも愉快そうな笑みを浮かべた関元は、そのまま買い出しに出掛けて行きました。
その直後、ガチャっとドアの開く音が聞こえ花山が視線を向けると、そこには常子が立っていました。
「どうしてここにいる?」入り口で頭を下げる常子に、つっけんどんに尋ねる花山。
返事のない常子に、「何しに来た!」やや語気を強め問い質します。
常子は店の中に入り、「もう一度・・お話させて頂けませんか?」花山を真っ直ぐ見つめ訴えました。
「君が粘り強い根性の持ち主なのは知っている。だが、こんな時に発揮せんでいい!」
ウンザリしたように話す花山ですが、常子は諦めません。
「昨日御老人から伺いました。八月十五日・・全てに気付いたって」常子がそう言うと、花山がじっと見つめ返してきました。
しかし、すぐに背を向け、コーヒーカップの整理を始めてしまいました。
「一体何に気付かれたんですか?教えてください!何故・・ペンを握らないのか・・・」
何処までも食い下がってくる常子に、「うるさい女だな君は・・・」辟易したようにぼやくと、花山は再び常子に向き直ります。
「帰れ!と怒鳴りつけたいところだが、それでは君は帰らない。分かってる」
自らの分析を披露する花山に対し、「ずい分お詳しい」ちょっと嬉しそうな常子。
「嬉しそうにするんじゃない!」花山は若干イラつきます。
「いいか・・理由を聞いたら帰ると約束しろ。ならば教えてやる」大きなため息をつき、花山がとうとう折れました。
しかし、そのまま帰ってしまっては説得できません。
常子が返事を躊躇していると、「では言わん!ずっとそこで待つがいい!コーヒーをどんどん頼め!」そう言って常子の目の前に、次々とカップを並べ始めました。
「分かりました!教えてください・・お聞きしたら帰ります」常子も覚悟を決めました。
しつこく食い下がってくる常子に、花山がとうとう折れた・・という格好ですが、五反田が言うように何処かで待っていた面もあるのでしょうか?
花山はひょっとしたら、常子ならば自分の抱えている苦しみを理解してくれる、との思いがあるのかもしれません。
妻の三枝子には重荷を背負わせたくない、関元にも同様に悩みを打ち明けにくい、後輩の五反田は花山に対し苦手意識がある。
ほとんど縁もゆかりもない常子の方が、逆に打ち明けやすい・・ということもあるのではないでしょうか?
いずれにせよ、常子に”二度とペンを握らない”理由を教えることにした花山ですが、だからと言って常子の雑誌の編集長になる訳ではありません。
常子にとってはそちらの方が本丸なのですが、猪突猛進する性格だけに、今は目の前の問題に突き進むのでした。
花山の話を聞いた後、常子がどんな判断をするのか分かりませんが、このまま真っ直ぐ突き進むだけでは花山の気持ちは動かせないのではないでしょうか?
やはり、花山の周りの人々を巻き込むことが重要になってきそうな気がしますが・・・
とと姉ちゃん15週86話の感想まとめ
花山に出版業界に残って欲しいという五反田の思いもあり、常子は再び花山のもとを訪れるのですが・・八月十五日に気付いた事とは?
決して諦めない常子の猪突猛進ぶりが、花山の心を少しだけ開いたのか、”二度とペンは握らない”理由に迫ろうとしています。
一方で鞠子と美子は、売れ残った”スタアの装ひ”を何とかしようと奮戦、水田の力添えで何とかピンチを凌ぎますが・・・
出版事業の立て直しのため、三姉妹がそれぞれ手探りで前に進もうと四苦八苦するなか、徐々に理解を示す人物も現れる展開。
一見頼りなさそうに見えた水田ですが、意外な顔の広さを発揮し鞠子のピンチを救うという、ちょっと予想外の活躍も。
そして、関元が話してくれた自分の息子と花山の話は、常子の花山に対する見方を変えてくれたのかもしれません。
以上、とと姉ちゃん15週86話のあらすじネタバレと感想でした!