とと姉ちゃん 9週52話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」9週52話のあらすじネタバレと感想です。
まずは9週51話の振り返りを少し。
自分が必死で仕上げた仕事は、男性社員から押し付けられた”雑用”に過ぎなかったことを思い知らされた常子。
温かく出迎えてくれた家族にはとても本当のことは言えず、一人で落ち込んでしまいました。
にもかかわらず、再び”雑用”を引き受ける常子の態度に業を煮やした早乙女は、課長の山岸に働きかけ”手書きによる資料の作成”と”他部署からの業務依頼を個人的に受けること”を禁じてしまいます。
落ち込む常子でしたが、直後にタイプ室に怒鳴り込んできた男性社員に対し、”おい”や”君”ではなく女性社員も名字で呼ぶことを要求する早乙女の姿に、何かを感じたようです。
その日、会社帰りの常子は滝子の元を訪れ、仕事の悩みを相談するのですが・・・
とと姉ちゃん 9週52話のあらすじネタバレ
男女は尊敬しあえるか?
「我々も名字で呼んでいただけますか?」”おい”や”君”は名前ではない・・早乙女は男性社員に毅然と立ち向かいます。
その姿を見た常子は、早乙女の考えにも一理あると思う一方で釈然としない思いも拭えず、滝子の元に相談にやって来ました。
「男性と女性が尊敬しあって働くのは難しい事なんでしょうか?」男性に見下されまい・・その思いがあまりに強い早乙女。
甘く見られないよう、男性から頼まれた雑用はしない・・しかし常子にしてみれば、目の前で困っている相手を助けないと言うことには納得がいきません。
「どうするべきか思い悩んでしまって・・・」弱り切った表情で訴える常子ですが、滝子はフッと笑ってこともなげに答えました。
「そうやっていがみ合うから、余計互いに受け入れられなくなる」悩むことなんてこれっぽちもない・・と言う滝子。
「男が悪い、女はダメだと言ったところで、所詮この世には男と女しかいないんだよ?」
だったら上手くやっていくしかない・・滝子の言葉に、まるで憑き物が落ちたかのようにパッと明るい表情になる常子。
「そうか・・・そうですよね!」お祖母様のおかげで胸のつかえが取れました・・そう言うと、常子は慌ただしく滝子の部屋を出て行くのでした。
気落ちしていた常子に、美味しい饅頭でも食べてもらおうと運んできた隈井が、唖然として見送ります。
翌日、常子は課長の山岸の元に直談判にやって来ました。
「確かに私は半人前です!」常子のタイプライターの技術は、早乙女たちには及びません。
だからこそ、自分に出来ることをやって役に立ちたい・・手書きの資料でも机の片付けでも、誰かの役に立つのであれば、ひいては会社の役にも立つ。
常子の必死に訴えを、山岸は饅頭を頬張りながらいかにも興味無さそうに聞いています。
「禁止されてしまったら、私は何も出来なくなってしまいます」考え直してほしい・・懇願する常子。
山岸は煩わしそうに手を振ると、「禁止令は・・もう取り消そう」目の前の面倒から逃れるように、前言を翻しました。
しかし、常子にとっては課長の言質を取ったことで、ようやく展望が開けました。
「ありがとうございます!」満面の笑みで山岸に一礼すると、総務部を後にしました。
いがみ合うから、余計互いに受け入れられなくなる・・滝子の頭の中には、ひょっとすると君子との長い断絶の日々が過っていたのかもしれません。
穿った見方かもしれませんが、娘との深刻な決裂を乗り越えた滝子の目には、常子と早乙女の価値観の違いも小さな問題と思えたのではないでしょうか?
そして、滝子の言葉を受けて胸のつかえがとれたと言う常子ですが、なんと山岸に直談判して、早乙女が勝ち取った禁止令を撤回させてしまいます。
それではかえって対立が激化するような気がしますが・・・
にしても、山岸のいい加減な態度、事なかれ主義でその場しのぎで妥協を繰り返す・・まさにこれこそ対立を生む根本原因。
”どうしたもんじゃろのう・・・”という声が、何処からともなく聞こえてきそうですね。
タイピストとして歩み始める常子
常子がタイプ室に戻ってくると、二人の男性社員が待っていました。
噂を聞きつけ、会計資料の整理を頼もうとやって来たのでした。
「頼めばやってくれるんだろ?」男性社員がそう言うと、全員のタイプを打つ手が止まります。
静まり返ったタイプ室の中で、女たちの冷たい視線が常子に集まります。
「・・分かりました!」短い沈黙の後、小さく頷き常子が答えました。
「あなた!一体どういう神経をなさっているの!」男性社員たちがタイプ室を出て行くと、早乙女が常子に詰め寄ります。
「私は・・たとえ雑用でも必要とされるなら受けるべきだと思うんです」取り囲む女たちにも臆せず主張する常子。
先日禁止令が出たはず・・口々に批判する女たちですが、「先程、課長にお許しを頂きました」落ち着いて反論します。
男性社員を拒絶したからといって、自分たちの立場が良くなる訳ではない・・常子は皆を説得しようとしますが・・・
「甘いのよ!」感情を露わにする早乙女。
女だというだけで、雑用を押し付けられ、失敗の責任をなすりつけられ、何の評価も得られない。
自分たちがこれまでどれだけ理不尽な思いをしてきたか、悔しそうに捲し立てます。
「・・・昨日今日入ってきたあなたには分からないでしょうけど!」
「昨日今日入ったからこそ、出来ることなのかもしれません」怒りをぶちまける早乙女に対し、静かに反論を試みます。
男性に諦めを抱かず、どんなことでも引き受けることで、女性の評価を上げるきっかけになれば・・・
「どうせ無駄なのよ!」ひときわ大きな声で、これまでの不満を爆発させる早乙女。
男性側は言いなりにしたいだけ、女に有能さなど求めていない・・雑用を手伝うことも当然視し、どれだけ努力したところで誰も見向きもしない。
そんな早乙女に対し、「私は・・・困っている人がいたら、助けたいと思います」と、常子はあくまで自分の信念を貫きます。
と、そこへ・・騒動に気付いた山岸課長がやって来ました。
「・・・困るよ・・職場で揉め事は!」自分が原因を作っているのですが・・・
「課長!禁止令を撤回したというのは本当ですか!」早乙女が厳しく詰め寄ります。
この件は私に一任して下さったはず・・それは言葉のあやでしょ・・早乙女と山岸の不毛なやり取り。
君がもう少し上手くやってくれると思ったから・・適当な言い訳を並べる山岸。
「では課長は早乙女さんが間違ってると仰るんですか!」道子が食って掛かります。
女たちが一斉に山岸に避難を浴びせると・・「・・・小橋君が悪い!」簡単に手のひらを返しました。
「え?」「え?」「え?」常子も、道子たちも唖然。
新人なんだから、文句を言わず早乙女の指示に従うように・・言葉の軽い山岸に開いた口が塞がらない常子。
山岸が適当に事態を締めくくろうとしたその時、「ちょっとお邪魔するよ」総務部長の佃博文がタイプ室に入ってきました。
「小橋常子君ってのは?」佃部長が常子の名を口にしました。
小橋君来なさい!山岸が常子を呼びつけます。
おずおずと進み出た常子に対し、「君か!この書類を清書したのは・・・」手に持った書類を示す佃部長。
「これを作ったのがどんな娘か知りたかった・・・」一体何を言われるのか・・常子も不安そうな表情を見せます。
「こんなにたくさんの書類を手書きなんかで書いて・・・」冷たい視線を送る早乙女や道子たち、固唾をのんで見守るかをる。
「しかし、見やすさはタイプライターに何ら劣っていない」意外な展開に耳を疑う早乙女たち。
こちらの書類も見やすくて分かりやすい、素晴らしい・・・
「これからもお願いすると思うから・・その時は頼むよ」思わぬ高評価を受け、戸惑いつつ頷く常子。
呆気にとられるタイピストたちを残し、佃部長は去って行きました。
「・・・ま・・そういう訳だから」部長の言葉を受け、これからは常子の思った通りに動いていい・・と軌道修正を図る山岸。
「・・・期待してるよ」調子のいい山岸に、常子も苦笑いする他ありません。
一件落着・・一方的に宣言すると、山岸はさっさと逃げ出すのでした。
「小橋さん」やや落ち着きを取り戻した早乙女が、声を掛けてきました。
上の決定なので雑用を引き受けることも、タイプライターの使用も認める。
ただし、「私とは考えがまるで違います。そこは譲るつもりありませんから」それだけ伝えると、皆に仕事に戻るよう促します。
憮然としつつ作業に戻る道子たち、かをるだけが少し嬉しそうな表情を浮かべていました。
常子も席に戻ろうとしますが、その時早乙女が声を掛けてきました。
「これを4部、今日の4時までにお願いします」目の前に立った常子に、原稿を渡します。
やや驚いた常子でしたが、「はい、畏まりました」そう言って原稿を受け取ると、自分の席に戻りタイプライターに手を伸ばしました。
―――この出来事をきっかけに、常子はようやくタイピストとして歩み始めました
常子の丁寧で懸命な仕事ぶりは、少しずつ早乙女たちにも認められていったのです。
いつも猪突猛進で突っ走る常子は、結局正面突破を図るのが一番自分らしい・・そんな結論に達したのかもしれません。
覚悟を決めて自分の信念をぶつける常子に対し、早乙女にも譲れないものがありました。
やはり、と言うべきか過去に男性社員たちに相当酷い扱いを受けてきたようです。
しかし、いつまでも過去に縛られ、頑なにあらゆる妥協を拒む姿勢では、いくら感情を爆発させて反論しても、もはや常子を黙らせることはできません。
昨日今日入ったばかりで、過去に何の拘りもない自分だからこそ、突破口を開くことが出来る・・・
早乙女が彼女なりに女性社員全体の事を考えているように、常子も女性社員全体の地位向上のために働く姿勢を示し、説得を試みます。
それでも、頑として常子の考えを認めようとしない早乙女でしたが、佃部長の言葉が常子を認める大きなきっかけになりました。
女性でも立派な仕事を続けていれば、ちゃんと評価してくれる人はいる。
男性の部長から認められた常子の仕事ぶりを、自分も公平に評価しなくてはならない・・そんな気持ちが芽生えたのかもしれませんね。
常子が待ち望んだもの
「そうですか・・お仕事は順調ですか」常子は武蔵を誘ってお汁粉を食べに来ていました。
論文の執筆に忙しく、森田屋を訪ねることも出来なかった武蔵は、常子の事を心配していたようです。
「星野さんもご多忙だと、中々こうして会えなくなりますね」常子の言葉に、武蔵も寂しそうな表情を浮かべます。
ふと、常子は店内の張り紙に気付きました。
「来週より 毎週日曜日 ”お汁粉”半額」
張り紙を見た常子は、毎週日曜に店で会って、1週間の出来事を報告し合う・・そう提案しました。
ちょっと驚いた武蔵ですが、嫌なはずはありません。
「よろこんで!是非そう致しましょう」武蔵の答えを聞き、常子も笑顔に。
―――タイピストになり3週間が過ぎたこの日、常子の元に待ち望んだものがやって来ます。
昼食時、足取りも軽くタイプ室へと入っていく常子。
「綺麗ですね・・」早乙女の弁当を覗き込んだ常子が、思わず呟きます。
色合いも美しいし、綺麗です・・お弁当屋さんに住んでいる私が言うんですから、間違いありません・・・
唐突に弁当の論評を始めた常子に、先輩タイピストたちも思わず笑ってしまいます。
心掛けが詰まってるんですね・・上機嫌で早乙女の弁当を褒めちぎる常子。
「何かいい事でもあった?」常子の様子が気にかかったかをるが、声を掛けてきました。
「分かります?出ちゃってました?」思いっきり表情が緩んでいる、常子の待ち望んでいたものとは・・・
―――そう、この日は常子にとって初めてのお給料日
「小橋常子君!」佃部長に名前を呼ばれ、嬉しそうな表情を押し殺しつつ、前に進み出た常子は”四月分 小橋常子殿”と書かれた給料袋を受け取ります。
思わずニンマリする常子。
給料袋の入ったカバンを両手でしっかりと抱え、周りから隠す様にして家路を急ぎまが・・森田屋に戻る前にまず、青柳商店へとやって来ました。
奥の部屋で滝子と向かい合った常子は、一封の封筒を差し出しました。
「お祖母様・・今月から少しずつですが、お金をお返しいたします。」そう言って頭を下げます。
「確かに・・受け取ったよ」滝子の言葉を聞き、ようやくひと仕事終えた安堵感から、力が抜けてへたり込む常子。
大袈裟だね・・滝子が可笑しそうに笑う隣では、隈井がおいおいと泣き出すのでした。
「これで、名実ともに”とと姉ちゃん”って奴になったんだね・・・」常子は照れくさそうにしています。
自分の力で稼ぎ、家族を養う・・「常子は一家の”大黒柱”ってことだよ」
”大黒柱”・・滝子の言葉をかみ締める常子。
―――それは常子が長い間待ち望んでいた言葉でした
待ちに待った初任給を手にし、表情が緩みっぱなしの常子を見ていると、これまでの早乙女たちとの厳しい対立が何だか遠い過去の出来事のように思えます。
常子が早乙女の弁当を褒めちぎるシーンで、他のタイピストたちもなんだかずい分とほっこりとした笑いに包まれていましたね。
常子に影響されて彼女たちも、徐々に変わってきているように見えました。
そして、滝子から掛けられた”大黒柱”という言葉を、感慨深げに口にするラストシーンが印象的でした。
これまでの苦労を思えば当然ですが、本当に常子が待ち望んでいたものは、目先の給料などではなかった訳です。
竹蔵から「常子に、ととの代わりになってほしいんだ」そう頼まれて以来、色々な物を背負い込んできた苦労が、全て報われた瞬間だったのではないでしょうか?
とと姉ちゃん9週52話の感想まとめ
所詮この世には男と女しかいない・・年の功を感じさせる滝子の言葉に、胸のつかえが取れ再び走り始める常子。
山岸課長に直談判して禁止令を撤回させるという、早乙女も顔負けの荒業に出ます。
もっとも、山岸のどっちつかずで信念の無い、事なかれ主義の性格だからこそうまくいった面もありますが・・・
ようやくタイピストとして歩み始め、滝子からは「名実ともに”とと姉ちゃん”になった」と評価され、次の展開が楽しみになってきましたね。
職場での女の闘いが一段落し、今度はどんな困難が待っているのでしょうか?
以上、とと姉ちゃん9週52話のあらすじネタバレと感想でした!