とと姉ちゃん 10週55話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」10週55話のあらすじネタバレと感想です。
まずは9週54話の振り返りを少し。
昭和十四年十月、常子はタイピストとなって二年半になり今や職場の大きな戦力、鞠子は大学で文学の研究に忙しく、充実した日々を過ごしていました。
そして美子は・・勉強は苦手ながらも、得意の裁縫の腕を活かして、青柳商店の職人たちには大人気。
そんな三姉妹にも、暗い時代の足音が迫って来ていました。
物資の国家統制が進み、森田屋では当面は松弁当を作ることを見合わせることになり、青柳商店でも深刻な問題を抱えている様子。
常子は週に一度、武蔵と会ってお互いの出来事を報告し合うことを楽しみにしていましたが、武蔵には何やら常子に言えずにいることがあるようなのですが・・・
とと姉ちゃん 10週55話のあらすじネタバレ
常子の日常にも変化が・・・
難癖をつけてきた男に必死で立ち向かう、武蔵の思いもよらぬ頼もしい姿を目の当たりにした常子。
そして、常子と武蔵はお互いを強く意識しあうようになっていました。
そんな武蔵には、どうしても常子に言えずにいることがあるのようなのですが・・・
一方、小橋家においては、思春期にさしかかった美子が、最近口うるさい常子の事に不満を募らせていました。
しかし、タイピストとして収入を得るようになって二年が過ぎた常子は、名実ともに小橋家の大黒柱になり、自分のやり方に自信を持っています。
―――そして、家訓も守っていたのですが・・・
「いただきます!」宗吉の掛け声とともに、皆朝食に手を付けます。
仕事が忙しく、寝不足気味の常子ですが、家族そろって朝食を食べるのが家訓・・「俺だったら確実に布団の中だね」と、長谷川は軽口を叩きますが・・・
「長谷川・・おめえと常子を一緒にすんじゃねえ」爪の垢でも煎じて飲みな・・と宗吉とまつからお小言を頂戴する羽目に。
夕べも遅くまでお仕事してたんでしょ・・心配する富江。
社員が徴兵に取られ、常子は資料整理の手伝いに忙しいようです。
皆が常子の体を気遣いますが、「こんなに美味しそうな朝ご飯見たら、眠気なんて吹っ飛んでしまいました」と、おどけて見せます。
周りに心配されている常子ですが、常子の方は妹の美子の事が気がかりな様子。
「ねえ、よっちゃん。今日はお祖母様の家に寄り道しないで帰ってくるのよ」期末試験に備え、しっかり勉強を・・好きな縫物ばかりしている美子に、軽くお説教する常子。
「・・・分かってる」不機嫌な様子で呟く美子を、優しく見つめる君子ですが・・・
―――昭和十四年十一月・・この頃日本では、国家総動員法や価格等統制令など、国による統制が始まり、国民は質素な生活を求められていました
常子の職場では、ほとんどの女子社員が梅干し一つの質素な日の丸弁当で済ませる中、道子だけは焼き鮭や玉子焼きなど、彩豊かな弁当を持ってきていました。
「時代がどうあれ、あたしはこうしたいの!」世の女性憧れの職業婦人として、自分の考えを貫きたい道子。
これからもたくさん稼ぎ、パーマネントやオシャレも妥協せず、恋だって山ほどするつもり・・と、活き活きと語ります。
「じゃなきゃ何のために働いているのか分からないじゃない!」ねえ、早乙女さん・・と同意を求めますが・・・
「働く理由は人それぞれでは」いつも通り、なれ合いは拒む早乙女。
ですよね・・あっさり引き下がった道子は、常子たちに話を振ります。
「あたしは・・五人の弟たちを食べさせなきゃいけないので」かをるが働く理由は、生活のため。
常子も同じく、家族を支えるため働いている訳ですが、道子にとってはなかなか信じがたい事のようです。
嫌にならないの・・驚いた様子の道子に、「それが私の役目ですから」笑って答える常子でした。
自分自身のポリシーを守るため、世の中の流れに逆らって、憧れの職業婦人としての生き方を周囲に見せつける道子。
普段、早乙女にすぐ迎合する姿からは想像できない、確固たる信念の持ち主・・なのでしょうか?
家族のために働く常子とかをるに対し、若干呆れるような言動も見られましたが、もしかしたら将来、常子の雑誌作りに関わってくる・・・かもしれません。
しかし、今の常子にとっては対極にあるような存在、常子はひたすら家族を支えるために働いています。
にもかかわらず、小橋子の大黒柱として自信を深める常子と、微妙な年頃になった美子の間に隙間風が吹き始めています。
歳の離れた妹が可愛いあまり、ついつい口うるさくなってしまう常子。
思春期を迎えた美子が反発するのも分かりますが、二人の関係の微妙な変化に気付いているのは、どうやら君子だけのようです。
心配する様子が表情に現れている君子ですが、今はそっと見守ることしか出来ないのでした。
互いに意識する二人
その日の夜、常子は次のお出掛けについて家族と話し合いますが・・・
「・・・別にどこでもいいわ」気のない返事を返す美子。
みんなでお出掛けするんだから、みんなで話し合うべき・・ムッとした常子が注意します。
鞠子が何とか二人を宥め、気を取り直した常子が百貨店の美術展に行くことを提案しますが・・・
「うん、それでいい・・・」”それで”という言い方に、思わずカチンとくる常子。
「”それが”いいんでしょ?」慌てて鞠子が取り成そうとしますが・・その場には微妙な空気が。
常子は君子にも確認し、来週の日曜に決めようとしますが、鞠子は大学の集まりがあるため難色を示します。
「じゃあ・・再来週の日曜日」改めて日程を示す常子ですが、国文学の小論文に備え勉強したい・・と、中々多忙な鞠子。
「・・・では24日の1時で」君子と美子にも確認し、ようやくお出掛けの日取りが決まりました。
ですが、満足げな常子をどこか冷めた表情で見つめる美子は・・・
翌日、常子は近所の甘味処『花琴庵』で、いつものように武蔵とお汁粉を食べながら、お互いの今週の出来事を報告し合います。
無事にお出掛けが決まり上機嫌な常子、一方の武蔵はノートに書いた一文を見つめています。
”今日こそ常子さんに告げる”・・先週もとうとう伝えそびれた事が、ずっと引っ掛かっているようです。
その武蔵の目の前で、次のお出掛けの予定を楽しそうに語る常子。
「常子さんは、何故そんなに家訓を大切にされているんです?」武蔵から改めて聞かれ、常子は少し考え込んでしまいました。
「亡くなった父が大切にしていたものでしたし、約束したので」妹たちを守る、との父・竹蔵との約束。
だから、父が自分たちにしてくれたように、家訓は必ず守らなければならない・・自然とそう思うように。
常子の話を聞き、父親の存在がいかに大きなものかを知る武蔵。
「素敵な方だったんだろうなあ・・・」思わず呟きます。
そんな武蔵に対し、「何だか少し、星野さんに似ている気がします」そう言ってほほ笑む常子。
名前が同じだけでなく、メガネの感じや優しい口調もどことなく亡き父親を連想させると。
「だからなのかなあ・・星野さんが身近に感じるのは」常子に言われ、武蔵は思わずドキッとしました。
その様子に、常子もはにかみます。
美子のぞんざいな言葉使いも問題かもしれませんが、常子もずい分と神経質になり過ぎのような気がしますね。
二人の間に立って穏便に済ませようと気遣う、鞠子の気苦労が伝わってきました。
常子は仕事の忙しさから、余裕がないのかもしれません。
余裕の無さから逆に、”ととの教えを守って、何気ない日常を大切にしなければ・・・”という思いが、次第に強まっているのではないでしょうか?
竹蔵が亡くなった時に、一番幼かった美子との間で、”ととの家訓”に対する思いに違いが出てくるのは、仕方ない事なのかもしれません。
妹との間に気持ちのズレが生じつつある常子ですが、武蔵に対して亡き父親の姿を重ね合わせているのは、恋愛感情なのか、それとも気持ちが弱っているからなのか・・・
果たして二人は、さらにもう一歩踏み込んでいくことが出来るのでしょうか?
お出掛けの日に
その頃、鞠子はある朗読会に誘われていました。
「・・・三好達治の詩を朗読する集いなんだ」そう言って、一枚の紙を差し出す木戸稔。
”十二月二十四日 十時ヨリ”そう書かれています。
「来週の日曜日は、その・・・」木戸の誘いに、悩む鞠子。
しかし、「おいでよ、きっといい刺激になるよ」木戸からさらに一押しされると、「・・・はい」と嬉しそうに頷くのでした。
そして青柳商店に遊びに来ていた美子は・・・
「来週の日曜ですか?」小僧たちに与える”お仕着せ”を縫う手伝いをしてほしい・・と滝子に頼まれていました。
”お仕着せ”とは、季節毎に主人から奉公人に与えられる着物のことで、今でいうボーナスのようなもの。
毎年、女中総出で縫っていたものの、国家総動員法のおかげで人手不足に陥り、弱り果てていたのでした。
小僧たちにとって盆暮の里帰りは何よりの楽しみ、隈井もちゃんとした着物を着せてやりたいようです。
お仕着せに使う布地を見ていた美子ですが、ふと、目に留まったものが。
「あれ?この布地・・・」それは滝子の着物でした。
良い布地が簡単には手に入らないご時世、滝子は自分の着物で小僧たちのお仕着せを作ろうとしていたのでした。
お仕着せの出来不出来は店の沽券に係わる・・きちんと良い身なりで里帰りさせて、青柳商店がいい奉公先だと、小僧たちの両親を安心させなければならない。
だから下手な布地を使う訳にはいかないのだと、清が説明してくれました。
改めて滝子に手伝いを頼まれた美子は、一家でのお出掛けの予定が気に掛かりながらも、引き受けることにしたのでした。
その日、家に戻った美子は常子に嘘をつきました。
「とと姉ちゃん・・お出掛けの日なんだけど・・ちょっと予定が入ってしまって・・・」
本当の事を言ったら怒られる・・と思ったのか、美子は友達の家で勉強会をやることになった、と言って誤魔化すことに。
「何もお出掛けの日に・・・」表情を曇らせる常子ですが、君子に説得され渋々承知します。
「・・・では、駅前のお寺に集合ね、私とかかと・・鞠ちゃんは・・・」改めて確認する常子ですが・・・
「ごめん」隣で聞いていた鞠子が、唐突に声を上げました。
同好会の集まりのため、後からお寺で合流することにしたい、という鞠子。
鞠子が文学同好会に入っていることなど、初耳の常子は驚いていますが・・「あら、知らなかったの?」君子も美子も知っていました。
「とと姉・・お仕事大変そうだから・・・」話す機会が無くて・・と、ばつの悪そうな顔をする鞠子。
一人だけ何も聞かされていなかった常子は、あからさまに不機嫌な表情を見せます。
「では・・2時に・・お寺に、集合ね」美子と鞠子の都合を考え、時間を遅らせた常子ですが・・不満の残る結果に。
―――こうして迎えたお出掛けの日
「何だか雨降りそうね」生憎の曇り空の中、君子と常子が揃って家を出ます。
その頃鞠子は、時計の針が1時20分を指すのをみて、朗読会を抜けようとするのですが・・・
「・・・次の詩がどうしても君に聞かせたい奴なんだ」あと少しだけ・・と、木戸に引き留められてしまいます。
そして、美子は青柳商店で滝子や女中たちと共に、一心不乱にお仕着せを縫っています。
時計の針は、もう間もなく2時に差し掛かろうとしていました。
何も知らない常子は、君子と共に約束のお寺にやって来ました。
―――年の瀬も迫ったその日は、小雨交じりのとても冷たい風が吹いていました
年末年始に里帰りする小僧たちにのため、自分の着物を使ってまで”お仕着せ”を縫って与えようとする滝子。
今ではちょっと考えられない自腹の切り方ですが、そこまで聞いては、美子も断るわけにはいかないのでした。
打算めいた考えが、なかった訳では無さそうですが・・・
嫌々ながらのお出掛けと、好きな裁縫とを天秤にかけ、さらに滝子からのご褒美も期待できる。
要領のいい美子としては、当然の選択だったのかもしれませんが、常子にばれたら・・波乱の予感がしますね。
そして、鞠子の方も文学同好会の木戸稔からの誘いに、嬉しそうに応じていましたが、やはり年頃だけに家族とのお出掛けよりは・・・
一応、常子に対してきちんと(木戸の事には触れず)報告はしており、約束の時間も気にかけていましたが、木戸の言葉にずるずると引っ張られ、美子よりもむしろ鞠子の方が心配かもしれません。
優等生だけに、免疫が無さそうですし、常子ほど恋愛に鈍い訳でもなさそうです。
いつまでも幼い三姉妹ではなく、それぞれの成長の証しでもあるのですが、常子にとっては少し寂しい結果になりそうな予感がします。
とと姉ちゃん10週55話の感想まとめ
名実ともに小橋家の大黒柱となり、自分のやり方に疑問を持つこともない常子と、二人の妹たちとの距離が微妙に離れていく・・・
そして、そんな三姉妹を心配しながらも、温かい目で見守る君子ですが、成長していく娘たちにどんな思いを抱いているのでしょうか?
幼いころとは違い、三人とも家族以外に大切な人や、心を許せる相手を見つけ、自立していくのは自然な流れ。
しかし、そのせいですれ違いが生じ、常子が大切に守ってきた”ととの家訓”が徐々に重荷になっていく・・・
口うるさい姉に不満の募る美子、約束を守れないことに後ろめたさも感じる鞠子・・二人の妹の変化に、常子は気付いているのでしょうか?
以上、とと姉ちゃん10週55話のあらすじネタバレと感想でした!