とと姉ちゃん 14週81話のネタバレと感想

とと姉ちゃん 81話 ネタバレ

NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」14週81話のあらすじネタバレと感想です。

まずは14週80話の振り返りを少し。

九年ぶりに常子と再会した綾でしたが、戦争で夫を亡くしたうえ、空襲で実家と父も失い、母と幼い息子三人の暮らしで困窮していました。

そんな綾を助けようと、求めに応じて余りの浴衣を渡す常子でしたが、綾の母に挨拶に伺いたい・・との申し出に、何故か綾はよそよそしい反応。

一方で常子は、ずっと君子に苦労を掛けっぱなしであることを気に病み、このまま甲東出版で働き続けるか、それとも自分のやりたい雑誌作りに進みべきか悩んでいました。

そんな常子に対し、闇市で生き生きと働く女性たちを見せ、女でもやりたいことが出来る時代になった、と諭す鉄郎。

常子が前向きな変化を見せつつあることに喜ぶ鉄郎でしたが、常子がふと見ると、鉄郎が木綿を抱えているのが目に留まります。

かつて、不正を疑われていた自分た助けてくれた綾に恩を返すため、鉄郎から分けて貰った木綿を持って綾を訪ねる常子でしたが・・・

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とと姉ちゃん 14週81話のあらすじネタバレ

綾の惨めな姿を見て・・・

常子が目撃したのは、息子の太一のおもらしで着物を汚してしまったことを大家に激しくなじられる、綾の惨めな姿でした。

すぐに着物を洗って返すため、外に出ようとした綾とガラス戸を挟んで向き合う格好になってしまった常子は、黙って頭を下げるしかありません。

「怖い・・大家さんね・・・」綾と向かい合って座った常子が、ポツリと呟きました。

ですが綾は、「仕方がないわよ、こっちが悪いんだから・・・」幾分卑屈になっているようです。

それにしても言葉が過ぎると思う常子でしたが、大家も戦争で夫と子供を亡くし、一人で生きていくために必死だったのでした。

「常子さん・・本当にお久しぶり」お変わり無さそうで何より・・綾の母・登志子が、消え入りそうな声で常子に白湯を勧めます。

かつてとはまるで別人のように、暗く沈んだ様子の登志子を見て、複雑な表情を浮かべる常子。

そんな常子に対し、「今日はどうしたの?何か御用が?」気を取り直して、綾が訪ねます。

常子は思い出したように、鉄郎に分けて貰った木綿を取り出し、綾の前に差し出しました。

「・・・これを・・渡そうと思って・・よかったら、太一君のおむつに使って」

笑顔で語りかける常子でしたが、綾はその申し出に対し一瞬驚いたような表情を見せ、隣で眠る太一の顔をじっと見つめます。

どうするのか・・と登志子が見つめる中、綾はしばし考えた後、頭を下げながら木綿を受け取りました。

「ありがとう・・・」木綿を大切そうに抱えながら、常子に向かって改めて深く頭を下げる綾。

そして思いつめたような表情の綾は、「お母様・・少しいい?常子さんと二人でお話したいの」そう言って、登志子に外で待っていてくれるよう、促します。

登志子は常子に一礼し、玄関を開けて外に出て行きました。

綾の母・登志子が玄関から出て、長く気まずい沈黙が続き、それがいかにも綾の屈辱感の大きさを示しているかのようでした。

親友の常子にだけは、人生で最も輝いていた頃の自分の姿を、留めておいて欲しかったのではないでしょうか?

登志子も、すっかり人が変わってしまったように人生に絶望し、手のかかる幼い息子を抱え仕事も無い綾は、絶望のどん底にあって、最後のプライドも失ってしまったのでした。

そんな綾にとって、息子の太一の存在は救いにはならないのでしょうか?

常子が差し出した木綿を前に、太一の顔をじっと見ながら、綾は何を思っていたのでしょうか?

心のどこかで疎ましく思っている・・とは考えたくはありませんが・・・

ボロボロになった『青鞜』

登志子が出て行くのをチラッと見たきり、黙り込んでしまった綾。

「どうしたの?」長い沈黙の後、常子が尋ねました。

「・・・本当はあなたに・・家に来てほしくなかった・・・」ずっと下を向いていた綾が、ようやく口を開き本心を吐露します。

そんな綾を、常子が辛そうな表情で見つめています。

「こんなに惨めな暮らしをしてるって・・あなたに見られたくなかったの」綾にとっては、耐えられないことでした。

口数が減り、いつも暗い顔をしている登志子との関係もこじれていて、口を開けば口論になるばかり。

こんなつらい状況で、何の為に必死になって生きているのか・・答えを見いだせない綾。

言葉を詰まらせ、俯いてしまった綾に、常子は何と言葉を掛けていいのか分かりません。

「ごめんなさい・・・」ふと我に返ったように、綾が呟きました。

そして、おもむろに立ち上がると、部屋の隅の行李を開け、中から一冊の雑誌を取り出しました。

「これ・・憶えてる?」それは、ボロボロになった『青鞜』でした。

「綾さんまだお持ちだったの?」懐かしい思いでの雑誌を見て、思わず表情が和らぐ常子。

「あの日・・東堂先生が教えて下さったのよね・・・」綾は懐かしそうに、始めてチヨと出会った日に思いを馳せます。

―――元始、女性は実に太陽であった・・真正の人であった・・今、女性は月である・・・

かつて恩師の東堂チヨが唱えた、平塚らいてうの『青鞜』発刊の辞。

「あれからもう十年近く経つけど・・私は未だ、この言葉のとおり・・太陽じゃなくて・・月のままだわ」

自嘲気味に語る綾でしたが、それでも決して諦めた訳ではありませんでした。

「だけど・・この言葉があるから、頑張れているわ」

常子は、少しずつ表情が明るくなっていく綾を、じっと見つめています。

「女は元々太陽だったって思うと、いつか私も太陽にって・・元気が出てくるの」

そう言ってはにかんだ綾を見て、常子も少しだけ気持ちが楽になりました。

「おかげですっかりボロボロだけど・・私にとってこれが、唯一の心の拠り所」

大切そうに『青鞜』を見つめ、自分に言い聞かせるような呟く綾を前に、常子は・・・

綾が”唯一の心の拠り所”と言った『青鞜』・・それはまさに、常子との青春の思い出を象徴するものです。

ですが、青春の思い出だけにすがって生きている、今の綾には輝いていた頃の面影は微塵もありません

惨めな暮らしの中で、かつて恩師のチヨから聞いた言葉を思い返し、「太陽じゃなくて・・月のままだわ」自嘲気味に呟いた綾。

何の為に必死になって生きているのか分からない・・と、自分を見失っている綾ですが、息子の太一の事はどう考えているのでしょうか?

自らの境遇を嘆くあまり、守るべき幼い息子の事がないがしろになっているのだとしたら、残念な気がします。

『青鞜』を見つめながら、「いつか私も太陽にって・・元気が出てくるの」と語っていた綾は、果たして母親としての自覚をどこまで持っているのでしょうか?

親友を見守る常子は、これから綾をどんな風に支えて行けるだろうか・・と考えていたのかもしれません。

退職願

家に帰る道すがら、雑踏の中を歩く常子の中では、様々な思いが交錯していました。

「お前の稼ぎで一家を養ってるんだぞ・・もっとカネ稼ぐことを、真剣に考えろ」鉄郎から突き付けられた、現実的な問題。

「私にとってこれが、唯一の心の拠り所」惨めな暮らしを送る中、最後の希望にすがる綾のこと。

その夜常子は、机に向かいペンを走らせていました。

目の前には自ら決めた三つの目標が。

目標を書いた短冊をじっと見つめ、やがて・・常子は決意を固めました。

翌朝、常子は長い時間、仏壇に向かって手を合わせています。

「行って来ます」竹蔵の遺影に向かって呟き、吹っ切れたような表情で、常子は家を出ました。

その日、甲東出版ではいつものように編集会議が開かれていました。

「では各自、日程を見極めて調整してくれ」谷の言葉で会議はお開きとなり、皆帰る支度を始めます。

「たまには早く帰らんと、奥さんもお冠だろ・・・」五反田をからかう谷。

仕事を終えた安堵感に包まれる社内で、「・・・あの・・皆さんにお話があります」意を決して常子が声を上げました。

「どうした?改まって・・・」谷がちょっと驚いたように振り返り、常子を見つめます。

「私・・甲東出版を辞めさせて頂きたいんです」三人に聞こえるよう、はっきりと大きな声で告げる常子。

あまりに突然の事に唖然とする谷、「おいおい・・何の冗談だい?」五反田は困惑の様子。

「冗談ではありません」常子は自分の机の引き出しから退職願を取り出し、谷に差し出します。

無言で受け取り、じっと退職願を見つめていた谷は、「どうして?」短く尋ねました。

「理由は二つあります・・まず一つ目は・・お金です」やや遠慮がちに、常子が話し始めました。

時代が目まぐるしく変わっていく中、君子と鞠子には職がなく、自分一人の稼ぎでは暮らしていくのが苦しい。

常子は、このままでは家族を守れない・・と感じ、鉄郎の言葉通り真剣に稼ぐことを考えたのでした。

「そして二つ目は・・本を作りたいからです」常子の思わぬ答えに、戸惑う一同。

以前、”作りたい雑誌を作ろう”と五反田に言われ、”自分が作りたい物”は何か・・ずっと考え続けてきた常子。

今までの自分の人生を振り返り、頭の中で思いを巡らせた結果、「ようやく答えが・・・」

「ちょ・・ちょっと待て・・だったら・・辞めずにここで本を出せばいいじゃないか」

いまいち腑に落ちない谷が、途中で口を挟んできました。

しかし、「雇って頂いている立場では、たとえ本が売れても稼ぐことが出来ません」常子は、既に決意を固めています。

「自分で会社を作って、出版しようと思うんです」戸惑う谷に、はっきりと宣言する常子。

想像だにしていなかった常子の決心を聞き、唖然として互いに顔を見合わせる三人。

ついに、甲東出版を辞めて一歩踏み出す決意を固めた常子に、驚き困惑する三人の男たちの姿が、何とも滑稽に見えました。

一つにはお金を稼ぐため、さらには本を作るために出版社を辞めるというのは、谷たちからすれば意味不明な理屈に思えたはずです。

しかし、自分のやりたい事と、家族を支えるだけの稼ぎを両立させようとする常子にとっては、それが必然的な結論なのでした。

かなり無謀な挑戦なのは明らかですが、出勤前に竹蔵の遺影に向かって、長い時間手を合わせていた常子は、一体どんなことを祈っていたのでしょうか?

”家族を守る”という竹蔵との約束を果たすための決断だけに、これまでの苦労や色々な思いが込み上げてきたはずです。

いずれにせよ、固い決意を胸に新たな道に進むことを決めた常子は、今が一番充実した気持ちでいるのかもしれません。

常子が創りたい雑誌とは

「・・・教えてくれ、君が創りたい本ってのは一体・・・」未だ驚きから醒めない五反田が、三人を代表して尋ねます。

「女の人の役に立つ雑誌です」晴れやかな表情で、常子が答えました。

戦争が終わり、逞しく前を向いて必死に生きている女性がいる一方、戦争に翻弄され、苦しんでいる女性もまだ数多く存在しています。

物がなく、お金もなく、どうやって生きていけばいいのか分からない・・・

「こんな状況で、戦争によって酷い目にあった女の人の手助けがしたいんです・・だから・・・」

滔々と思いを述べる常子の言葉を遮り、改めて谷が尋ねました。

「そんな・・彼女たちの役に立つ雑誌か」対して常子は、はい・・と小さく頷くのでした。

しかし、女の常子に本当にそんなことが出来るのか、そもそも会社を起こす資金はあるのか、心配する谷。

案の定、常子にはほとんど蓄えが無く、最初は小規模な雑誌を・・と考えていました。

「女が出版社を起こすなんて聞いたことも無い・・失敗する可能性もあるんだよ」相田はあくまでも常識論を説きます。

当然、常子もそれは分かっていますが・・「・・・このご時世・・もう既に失敗してるようなものじゃないですか」

明るく答える常子に、空いた口が塞がらない三人。

「黙って配給を待っていたら、餓死してしまうような世の中ですよ」顔を見合わせる三人に、常子が尚も話を続けます。

闇市に行けば、女性の給料と同じくらいの値段で、米や日用品・食料を売っているような世の中で、このまま何もせずにいることの方が怖い・・常子はそう考えたのでした。

「それに・・もしこの賭けに出て、当たれば・・大金持ちになれるかもしれない」徐々に、気持ちが昂ってきた常子。

今まで苦労を掛けてきた家族を、喜ばすことが出来るかもしれない・・話し続けるうち、常子の表情は希望に溢れてくるのでした。

「・・・大金持ちか・・どうやら、覚悟は決まっているようですよ」可笑しそうに笑った五反田が、谷に顔を向け決断を促します。

「今まで・・たくさんお世話になったのに・・すみません!」小さく頷く谷に、常子が深々と頭を下げました。

「確かに・・世間が滅茶苦茶な今こそ、好機かもしれん」やれるだけやってみろ・・谷は、常子を送り出すことを決めました。

失敗したら、また戻ってくればいい・・温かい送別の言葉を掛ける谷に、思わず涙が込み上げそうになる常子。

「皆さんに・・教わったことを糧にして、一生懸命頑張ります」満面の笑顔でそう答えました。

このご時世、もう既に失敗してるようなもの・・何とも痛烈な常子の言葉。

思わず顔を見合わせた三人の男たちですが、この時代を”失敗”へと導いてしまったのはまさに男たちの仕業。

実際に戦地に赴いた男たちにしてみれば、自らへの批判のようにも聞こえて、言葉を失ってしまったのではないでしょうか?

常子にはそこまでの考えはなかったのかもしれませんが、これから男社会に立ち向かっていくことになる、常子のちょっとした宣戦布告に思えなくもありません。

それはさて置き、常子が助けたいと思った”戦争によって酷い目にあった女の人”とは、やはり綾のことなのでしょう。

かつて不正を疑われていた自分を助けてくれた綾に、恩返しがしたいと思っていた常子ですが、むしろ綾によって人生の重要な決断を後押しされることになったのでした。

この後、綾は常子の雑誌作りを手伝うことになるようですが、二人で支え合って困難な時代を乗り越えて行ってほしいですね。

とと姉ちゃん14週81話の感想まとめ

私にとってこれが唯一の心の拠り所・・ボロボロになるまで読み込んだ『青鞜』を、大事そうに見つめる綾の姿に、常子はついに新しい一歩を踏み出す決意を固めるのでした。

勿論、鉄郎が言うように、家族を養えるだけの稼ぎを得ることも理由と言いつつ、やはり戦争のせいで惨めな暮らしを強いられる、綾との出会いが決定的だったようです。

自ら会社を起こし、女性のための雑誌を作ることにした常子ですが、まず当面の課題は資金集め。

青柳商店は既になく、恐らく常子の友人の中で最も裕福だった綾も、日々の暮らしに困窮する状況で、常子の周りには有力なスポンサーは見当たりません。

或いは鉄郎が、昔のコネをあたって・・という展開も考えられますが、また怪しい借金取りに追いかけられることにならなければいいのですが・・・

以上、とと姉ちゃん14週81話のあらすじネタバレと感想でした!

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