とと姉ちゃん 12週67話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」12週67話のあらすじネタバレと感想です。
まずは11週66話の振り返りを少し。
森田屋が高崎へと移転し、常子たちは青柳商店に戻り再出発に向けて準備を始めました。
鞠子と美子が集めた求人広告を頼りに、常子は就職活動を始めますが、長引く戦争の影響で女性の就職は厳しい状況。
そんな時、給仕の坂田のくれたキャラメルの最後の一個を頬張った常子は、キャラメルを包んでいた新聞紙に求人広告が載っているのを見つけました。
”事務員急募 男女問はず 月二十五圓”・・常子は新聞片手に家を飛び出し、広告を出した甲東出版へ。
そこでいきなり社員の五反田に作業を手伝わされ、面食らいながらも何とか時間までに終わらせると・・・
とと姉ちゃん 12週67話のあらすじネタバレ
久々の良い知らせ
「求人広告見て、何人か来てくれたんだけど・・みんなすぐ辞めちゃってね」困っていた、という甲東出版の社長兼編集長の谷。
五反田の作業を手伝っていた常子を、一も二もなく採用を決めるのでした。
「本日・・見事採用となりました!」森田屋に戻った常子は、皆の前で喜びを爆発させました。
君子も、妹たちも、そして滝子も常子に負けず劣らず大喜び。
鞠子が早々と首の心配をしますが、こんなご時世に敢えて雇うからには、そう簡単に首には・・と隈井。
「ともかく・・久々に良い知らせを聞くと、それだけで元気になりますね」清がしみじみと滝子に話しかけます。
あたしも寝込んでばかりいないで働かなくちゃ・・おどけて見せる滝子でしたが・・・
―――滝子は再生不良性貧血という病を患い、寝て過ごすことが多くなっていました
君子がそんな滝子の世話で忙しい中、三姉妹も心配が尽きません。
「よっちゃん、あんまり心配かけちゃダメよ」からかう様に話しかける常子。
それはこっちのセリフ・・「何かやらかしそうなのはとと姉ちゃんの方じゃん!」美子がムッとして反論します。
むくれる美子はさて置き、常子は将来作家を目指す鞠子のために、今度出版社の人を紹介してあげる・・と話を振りますが・・・
「・・・ありがと・・でも、落ち着いてからでいいわ・・まずはとと姉がお仕事憶えなきゃ」
冷静、とも言えますが・・イマイチ話に乗って来ません。
「ねえ、出版ってどんな仕事なの?」ふと、疑問に思った美子。
「えーっとねえ・・・分かんない!」常子は、そう言って笑い転げるのでした。
昭和十六年、甲東出版に入社した常子。
凄い癖字の作家の原稿を前に、早速谷から仕事の説明を受けています。
作家から原稿を受け取ったら、読みにくい字を赤字で書き直し、文字数を確認。
「一枚のページの中に、見出し・本文・挿絵をどの配置にするか、それを決める作業の事を割り付けって言うんだ」
特に挿絵は重要・・良い挿絵はその作品の世界観を表し、読者をひきつけることが出来る、そう強調する谷。
出来上がった雑誌の一部は、印刷所から運び込まれ、定期購読者に向けて発送していきます。
常子も他の社員と共に、雑誌を封筒に入れて発送の準備を進めるのでした。
寄る年波には勝てず・・ということか、それとも陸軍からの滅茶苦茶な要求で心労が重なったためか、病床に臥せっている滝子。
常子の再就職の知らせは、ずい分と元気を与えてくれたはずですが、君子に看病されている穏やかな表情を見ていると、かえって不安も募ってきます。
禍福はあざなえる縄の如し、と言いますが・・常子の再就職と引き換えに、滝子の退場の時が迫っているのかもしれません。
全くのずぶの素人から、出版会社に飛び込んだ常子の苦闘の日々が始まる訳ですが、一人前の編集者になった姿を滝子に見せることが出来るのでしょうか?
「何かやらかしそうなのはとと姉ちゃんの方じゃん!」という美子のセリフが、変な伏線でなければいいのですが・・・
編集会議
定期購読者向けの発送作業が終わると、すぐさま編集会議を開いて、先の号の内容を決める編集会議を開きます。
「他にないのか?このままだと出版出来なくなるぞ!」議論が行き詰まり、苛立つ谷。
常子は周囲の様子を窺い、おもむろに立ち上がると、全員の湯飲みを下げ始めました。
「何をしてる?」その様子を眺めていた谷が、若干不機嫌そうな声で常子を咎めます。
お茶のお代わりを・・当然の事と考える常子、他の社員たちは口々に常子に感謝しますが・・・
「何が当然だ!」突然大きな声を出し、谷が一喝しました。
今は編集会議の真っ最中、雑誌の内容を考える時間・・「他の事は考えなくていい!」ぴしゃりと言い切る谷。
「小橋君も!何かないのか・・・」会議中、控えを取ってばかりの常子に、「君の意見はないのか?」谷がじりじりと近寄ります。
「私の意見・・ですか?」思ってもみなかった谷の言葉に、驚く常子。
なに驚いてる・・谷にとっては、常子の反応の方が意外だったようです。
ですが、「・・・女がしゃしゃり出て、意見なんか出しても良いんですか?」常子にはまだ迷いがあります。
五反田は可笑しそうに笑うと、「当たり前じゃないか・・此処じゃ男も女もない!」当然のように言い切りました。
君の考えを素直に言っていい・・君が創りたいと思う企画が浮かんだら、是非聞かせてくれ・・
五反田も谷も、面食らったままの常子を励ます様に、語りかけます。
「はい!」これまでの会社で受けてきた扱いとはあまりに違う話に、感激する常子。
その日の夜、食卓を囲む家族に常子が興奮して話し始めました。
「もうーびっくりしました!夢にも思ってませんでしたから・・私が雑誌の企画を考えてもいいだなんて!」
女性でもそういう仕事を任せてもらえる・・常子は興奮が止まりません。
興奮して喉にご飯を詰まらせる常子を、皆可笑しそうに見ています。
「でも、女性でも企画が出来るなんて・・タイピストの頃とはまるで違うのね」鞠子も嬉しそうです。
ところでどんな企画を考えたのか・・清が訪ねますが、「それが・・まるで浮かばなくて・・・」とんとん拍子とはいきません。
せっかく多くの人が目にするからには、人の役に立つものがいい・・ふと思いついたように提案する滝子。
「あたしもこの四十年・・ずっと同じ仕事を続けられたのも、そういう自負があったからさ」
常子にとっても、役に立つ雑誌の方が作る励みになる・・滝子の言葉を神妙な面持ちで聞いていた常子は、「・・・そう思います」と、笑顔で答えました。
ですが・・口で言うほど簡単な事ではありません。
会社の机に頬杖を突き、難しい顔で考え込む常子の肩を、五反田がポンッと叩きました。
「悩め~若人よ・・・」軽い口調で話しかける五反田に、思わず力が抜ける常子。
そう簡単にいい企画なんて浮かぶもんじゃないさ・・谷も、緊張をほぐす様に言い聞かせます。
何か人の役に立つ企画を・・と考える常子ですが、中々具体的な企画が浮かんできません。
「役に立つ雑誌ねえ・・ま、何冊もあれば、漬物石の代わりになるだろうけどね・・・」五反田の冗談に、軽くイラッとする常子。
悩みを解消する特集・・他の社員からそんな案も飛び出しますが、「・・・それはそれで難しそうだなあ」悩みなんて人それぞれ、谷が却下します。
―――確かに悩みは人ぞれぞれで・・鞠子は進路について悩んでいました
「そうか・・それが君の出した結論か・・・」鞠子から相談を受けた木戸が、ため息交じりに答えました。
大学を出たら工場に勤めに出る・・鞠子はそう決めたようです。
「残念だな・・鞠子君なら、良い物書きになれると思っていたんだが・・・」そう言って鞠子を見つめる木戸。
鞠子は作家への道を諦めたわけではなく、「仕事が終わったら・・きちんと毎日書き続けるつもりです」と、決意を語りますが・・・
「朝から晩まで働いて・・疲れて帰ってきてから、本当に良い物が書けるのかい?」
木戸の厳しい問いかけに、鞠子は黙り込んでしまいました。
僕は文学の道を突き進む・・「またどこかで会えるといいね」それだけ言い残し、木戸は去って行きました。
女性でも自分がやりたい企画を任せてもらえる・・常子がこれまで経験してきた、男尊女卑思想剥き出しの会社では考えられないことです。
家族に興奮した様子で語る常子を見ていると、本当に心の底から喜んでいる様子が分かりますね。
思い返せば以前の会社では、常子の仕事を認めてくれた佃部長の理不尽な要求が原因で、常子は職場を追われることになりました。
そのことが余計に女性の地位の低さ、そしていくらでも代わりはいる、という現実を見せつけていました。
あくまで命じられたままに”動く”だけの、雑用係に過ぎなかった訳ですが、甲東出版では一転して自分の意見を求められる常子。
自分はここで”働く”ことが出来る・・そういう実感を持ったのではないでしょうか?
しかし、滝子からヒントを貰っても、そうそう簡単に名案が浮かぶはずもなく、常子には生みの苦しみが待っていました。
戦後、自ら女性のための実用雑誌を創刊する常子ですが、最初の試練をどう乗り越えて行くのでしょうか?
綾からの便り
一方の青柳商店・・清の悩みは、苦しくなる一方の店の経営です。
「参ったなあ・・・」帳面を見て、大きなため息の出る清。
このひと月で売り上げが3割減・・「もう少し切り詰めないとなあ・・・」隈井に相談するものの、中々名案は浮かびません。
「これ以上・・何を切り詰めればいいってんですか」隈井も、これといった解決策を持ち合わせている訳ではなく、清は人を減らす以外に考え付きません。
しかし、青柳商店には既に、職人が一人と小僧二人しか残っていません。
やむなく清は、小僧たちに暇を出すよう、隈井に頼みました。
―――青柳商店は経営難のため、営業規模を大幅に縮小していました
そして常子は、この時代に人の役に立つものは何か・・懸命に考え続けています。
贅沢は敵、そんな風潮が世の中を支配し、皆が鬱屈した感情を抱えている時世。
常子は会社からの帰りに、派手な化粧を咎められる若い女性を見ました。
贅沢をするような人間は、日本国民の敵なんですよ・・がなり立てる婦人を尻目に、常子が再び帰路に就いた時、「あなた!」突然大声で叫びながら別の婦人が駆け寄ってきました。
「わ・・私、贅沢なんてしてませんよ」”大日本婦人会”と書かれた襷を掛けた婦人に、慌てて弁解する常子。
ところが・・「堂々と道を歩き過ぎです!」若い女性が堂々と道の真ん中を歩くもんじゃない・・とんでもない言い掛かりをつけてきました。
もっと慎ましく端を歩くべき・・さらに続ける婦人に対し、「どこを歩こうが私の勝手です!」さすがに、常子もムッとして反論します。
「まあ!目上の者になんて口を!」尚も噛みつく婦人に形ばかり頭を下げてから、常子はその場を去っていきました。
家の近くまで戻ってきた常子は、空き家となった森田屋にフラッと立ち寄り、ガランとした店の中を覗き込みました。
・・・いつか必ず、自分らの暮らしを取り戻す・・だから、あんたも強く生きるんだよ、とと姉ちゃん・・・
まつが別れ際に残した言葉と共に、森田屋で過ごした思い出が次々と蘇ってきます。
「すいません・・・」店の前に立ち尽くす常子に、背後から呼びかける声が。
常子が振り返ると、そこには郵便配達人の姿がありました。
「こちらの森田屋さんはお引越しされたんでしょうか?」そう尋ねられた常子は、森田屋が高崎へ移転したことを告げます。
ところが、配達人の持ってきた手紙は、常子宛ての物でした。
「こちらにお住いの小橋常子さん宛てに・・村野さんからお手紙です」”村野”という聞きなれない名前に、困惑する常子。
「村野・・綾さん・・ですね」改めて答える配達人。
それは親友の綾からの手紙でした。
常子は手紙を受け取ると、大急ぎで家に戻って部屋に駆け込み、着替えるよりも先に手紙の封を開けました。
―――お寒さ厳しき折から、常子様には如何お過ごしでいらっしゃいますか?
綾の手紙を、常子は食い入るように読み進めます。
結婚して名古屋に移り住んだ綾は、常子とはすっかり疎遠になってしまっていました。
嫁ぎ先に入ってしまうと、女学校の時とは勝手が違い自由が利きません・・”とほほ”と、おどけたことが書いてあります。
そして、病院勤めだった綾の夫が軍医として招集され、満洲へ赴くことになったと綴られていました。
―――覚悟はしておりましたが、後方の病院勤務とはいえ、内地と違い危険がない訳ではありません
先の事が分からず、夫の身を案じる綾の不安が伝わってきます。
―――お手紙を差し上げようと、あなた様の事を考えた途端に女学校時代の日々が、走馬灯のように思い出されて・・・
懐かしさと、楽しさと、喜びで胸がいっぱいになった綾。
常子の無事を祈る言葉で、手紙は結ばれていました。
―――戦争の影が、すぐそばまで近づいていることを実感する常子でした
益々息苦しさを増す世の中、道の真ん中を歩いているだけで難癖を付けられるとは、常子でなくともムッとするはず。
ましてや、同じ女性が目くじらを立てて言い掛かりをつけてきた訳ですから、複雑な思いを持ったのではないでしょうか?
権威を笠に着て周りを威圧する一方で、女性であることをことさら卑下するような言動に、常子は矛盾したものを感じたのかもしれません。
しかし、世の中の理不尽さを見せつけられ気分が沈んだ常子に、親友の綾からの便りが届きます。
大切な時間を共に過ごした綾からの手紙を、きっと・・ずっと長い間待ち望んでいたはずですね。
常子を和ませるかのように、ちょっと惚けたことも書いてありましたが、手紙には夫の身を案じる不安な気持ちが綴られていました。
そして、女学校時代の思い出に胸がいっぱいになったことも。
常子は手紙を読んで、親友のそばに居られないもどかしさに、悔しい思いを抱いたのかもしれません。
戦争の影が迫ってくる中、常子の頭の中にはいくつもの不安材料が交錯しています。
そこへ新たに、遠く離れて暮らす親友の心配も加わったのですが・・・
とと姉ちゃん12週67話の感想まとめ
ようやく再就職が決まって大喜びの常子と、祝福する君子たち。
常子にとっての吉報というだけでなく、経営難のうえ滝子が病床に臥せっている青柳商店ににとっても、久々の明るい話題なのでした。
再就職先の甲東出版は、以前勤めていた会社とはまるで違い、女性の常子も会議でアイディアを出すよう求められる、進歩的な社風。
常子にとって大いにやりがいを感じると同時に、これまでになかったプレッシャーも感じているのではないでしょうか?
これから一生の仕事となる出版との出会いが、常子にどんな変化をもたらしていくのか・・期待と不安が入り混じる展開です。
以上、とと姉ちゃん12週67話のあらすじネタバレと感想でした!