とと姉ちゃん 14週79話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」14週79話のあらすじネタバレと感想です。
まずは13週78話の振り返りを少し。
昭和二十年初夏、激しい空襲が続き衣食住の全てが戦争の犠牲となる中、小橋家でも鞠子が栄養失調で体調を崩し、さらには横行する泥棒に怯える毎日。
突然鳴り響いた空襲警報に、慌てて庭の防空壕に駆け込む常子たちでしたが、その日は夜遅くまで中々警報が解除されず、不安を抱えたままずっと息を潜めていました。
すると、防空壕の外からザッ・・ザッ・・ザッ・・と足音が聞こえ、常子がこっそり外を覗いてみると、戸の隙間から男の足が見えます。
ゆっくりと防空壕に近付く男の気配に怯える常子たちでしたが、その正体が叔父の鉄郎と知り、常子は安心のあまり腰を抜かしてしまうのでした。
貴重な食糧を手土産に、しばらく小橋家に居候することになった鉄郎に、安心感を覚える常子。
そしてさらに二カ月が過ぎた頃・・ようやく戦争が終わり、複雑な思いを抱きながらも常子は、ようやくやりたい雑誌が作れるかもしれない・・その喜びが体中を駆け巡ったのでした。
とと姉ちゃん 14週79話のあらすじネタバレ
闇市を駆け回る常子たち
戦争が終わり、やりたい雑誌をようやく作ることが出来るかもしれない・・希望に心躍る常子。
―――昭和二十一年二月、長かった戦争が終わったあの夏の日から半年・・国民は新たな戦いを強いられていました
食糧・物資等あらゆるものが不足し、闇市に群がる人々は一日一日を必死に生きています。
それは常子たちも同じで・・・
「鞠ちゃんとよっちゃんは・・あっち探してきて。とにかく、食糧を手に入れましょう」
小橋家の四人は、闇市の中を食糧を求めて探し回ります。
「小麦かお米が手に入るといいけど・・・」一家の切実な状況を示す、美子の一言。
数少ない食糧に大勢の人々が群がり、奪い合う場にたどり着いた常子と君子。
「行きましょう!」覚悟を決めた君子が常子を促し、二人で人ごみをかき分け、必死で食糧に手を伸ばすのですが・・・
君子が弾き飛ばされ、常子が人の群れに揉みくちゃにされている間に、最後の食糧も取られてしまうのでした。
「とと姉!かか!」呆然と立ち尽くす二人に、鞠子と美子が駆け寄ってきました。
どうやら鞠子達も食糧を手に入れられなかったようで、三姉妹は揃ってうな垂れてしまいます。
しかし、「他、当たりましょう!」娘たちを励ます様に、力強く声を掛ける君子。
三姉妹も揃って頷き、四人は食糧を求めて、再び闇市の中へと分け入って行くのでした。
―――この頃、戦争で職を失った人や外地からの引き揚げ者、そして復員兵など日本各地で職を求める人々が溢れかえっていました
そして、そのしわ寄せが女性たちに向かい、大学を出た鞠子と言えども勤め先は見つかりません。
君子と美子は着物の仕立て直しや、縫製の仕事を請け負っていたものの、稼ぎは微々たるもの。
一家の生計を支えていたのは、常子が貸本業で得た僅かな収入でした。
「三冊で二円になります」接客に追われる常子ですが、現実はかなり厳しいようです。
戦争が終わり、空襲や隣近所で監視し合うような毎日からは解放された常子たちですが、まだまだ生き残るための苦労は絶えません。
深刻な食糧不足は相変わらず、そして鞠子は仕事が見つからず焦る日々・・大学にまで行かせて貰ったのに、という負い目を感じているはずです。
ですが、闇市の中を諦めず駆けまわる常子たちには、これまで以上の逞しさも感じます。
もっとも、この時代には生きるために皆が必死だったのでしょうから、常子たちだけが特別だった訳ではありません。
それでも、落ち込む三姉妹を力強く励ます君子を見ていると、ちょっと希望が持てる気がします。
こうしていよいよ常子たちの戦後が始まった訳ですが、前途多難な中で一家の結束が問われます。
娯楽に飢えた人々
小橋家の四人は、食糧を求めて闇市を歩き回り、すっかり疲れ果てて食堂で休憩を取ることに。
鞠子と美子が食事を取っていますが、常子は遠くを見つめ、君子は疲れて肩を揉んでいます。
「はいどうぞ・・かか」美子が、自分のお椀を君子に差し出しました。
分け合って食べようとする美子ですが、君子は構わず食べるよう促します。
「やっと食べ物にありつけても、何が入っているか分からないシチュー・・・」情けなくなる鞠子。
お金もなく仕方のない事、食べられるだけで良しとしなくちゃ・・常子が諭しますが・・・
「私がちゃんと仕事見つけられたらなあ・・・」ぼやいた鞠子が、自分のお椀を常子の前に置きます。
そんな鞠子に対し、「焦らなくて大丈夫よ」常子が穏やかな笑みで励ますのでした。
そこへ・・「おいおい・・ここにいたのか!」遅れて合流してきた鉄郎。
果たして食糧は手に入ったのか・・気を揉む常子たちに、鉄郎がリュックの中身を見せます。
「カネもねえし・・これが精一杯だ」そこには数本のさつまいもと缶詰等が。
ひとまずホッとする君子ですが、「でも・・何日持つかな・・・」鞠子は不安で堪りません。
「どうすりゃいいんだろうなあ・・大蔵大臣は・・一千万の国民が餓死するだろう・・って言ってたしよ・・・」
律儀に配給を待ってた大学教授が、餓死したという話もある・・鉄郎がうんざりしたように話を続けます。
「戦時中から国の呼びかけ守って、闇の食糧には手を出さず、配給と庭の野菜だけで生きようとしてたらしい・・・」
配給制度は機能せず、知らせが回って来て、実際に店に行っても売り切れになっているのでした。
黙り込んでしまう常子に対し、「常子!いい加減辞めろ!貸本なんて・・・」鉄郎が唐突に話を切り出しました。
あんなちっぽけな稼ぎのために続ける必要はない・・そう吐き捨てる鉄郎でしたが、常子には甲東出版を守る責任があります。
「んなこと言ったってな!食えなきゃ死ぬんだぞ!」厳しい現実を突きつける鉄郎。
しかし、そうは言っても、女性が仕事を探すのは一筋縄ではいきません。
常子に代わって異議を唱える鞠子に、「んなもん・・本気で探せば・・・」いかにも気楽そうに反論する鉄郎に、鞠子が突然声を荒げました。
「叔父さんは男だから分からないんです!女が働く場所はほとんど無いんです・・・」
仕事に就いていた女性たちも、復員してきた男性たちに職を奪われ、厳しい状況を肌で知っている鞠子。
「簡単に仕事辞めろ何て言わないで下さい・・・」悲しそうな表情を見せる鞠子を、常子は黙って見上げることしか出来ませんでした。
その時、「・・・入ったよ!早いもん勝ちだ!」威勢の良い呼び込みの声が。
見ると、店頭に並べられた雑誌に人々が群がり、我先にと買い求めています。
「カストリ雑誌でもあんなに・・・」低俗な読み物が飛ぶように売れて行くのを、驚いた様子で見つめる美子。
「今は内容どうこうより、本全般が売れてるらしいわ・・・」鞠子が冷めた表情で呟きました。
皆が娯楽に飢えている現実を目の当たりにした鉄郎は、「常子!出版社に居てよかったなあ・・・」と、先程とは真逆の事を言い出しました。
「何でもいいから・・本作って出せ!」あまりに節操の無い鉄郎に、「さっきは辞めろって言ったのに・・・」空いた口が塞がらない鞠子。
「俺が言ったのはみみっちい商売は辞めろって話だ」鉄郎はこの機を逃すまいと、「早く出版を再会しろ」と常子を唆すのですが・・・
そうは言っても、今は常子一人で辛うじて会社を存続させているだけ・・とてもそんな余裕はありません。
目の前で飛ぶように売れていくカストリ雑誌を見て、敏感にカネの匂いを嗅ぎつけた鉄郎は、常子を盛んに焚きつけようとしています。
いい加減な性格ながらも目端が利き、良く言えば柔軟、悪く言えば節操が無い、そして意外なことろでしぶとさを発揮する鉄郎を、常子は信じるべきなのでしょうか?
現実論者とも言える鉄郎ですが、数々の事業を失敗させてきた実績が豊富なだけに、何だか危うい気配が漂います。
そんな鉄郎に対し、女が働く場所はほとんど無い・・という現実に打ちのめされている鞠子は、苛立ちを覚えるのでした。
鉄郎の言い分にも一理あるとしても、「本気で探せば・・・」というセリフはあまりに無神経過ぎたようです。
ただでさえ、自分が一銭の稼ぎも無いことにコンプレックスを抱いている鞠子には、受け入れ難い言葉だったのでしょう。
いくら常子から、焦らなくて大丈夫・・と言われても、大学で勉強したことを活かせない悔しさ・不甲斐ないさはどうしようもありません。
怒りと悲しみに暮れる鞠子をじっと見上げていた常子の表情が、悩みの深刻さを物語っているように思えました。
五反田の帰還
―――寒さ厳しいある日の朝・・・
かじかむ手に息を吐きかけ温めながら会社へと急ぐ常子を、物陰から見つめる怪しい男の姿が。
会社にたどり着いた常子が玄関の鍵を開けようとした時、「静かにしろ!」背後から迫ってきた男が、突然両手で常子の目を覆いました。
「カネを出せ・・・」驚いて鍵を落とした常子を、男が脅しますが・・・
「五反田さん?・・そうですよね!」明らかに聞き覚えのある声に、手を払いのけパッと振り向く常子。
そこには紛れもなく、復員してきた五反田の姿がありました。
「何だ分かっちゃったか・・・」ちょっと残念そうに、そして悪戯っぽく笑う五反田。
約束通り無事戻ってきた五反田を見て、常子は思わず涙ぐみそうになります。
「・・・一人で留守番させて、悪かったね」自分が不在だった間の、常子の苦労を思う五反田ですが、常子にとっては無事だっただけで十分。
年だったのが幸いしたよ・・自嘲気味に語る五反田は、常子の落とした鍵を拾って玄関を開け、中へ入って行きます。
「ずっと・・青森の大湊の基地にいたんだ」懐かしそうに、甲東出版の社内を見回した五反田が、話し始めました。
編集者ということで、速記要員にされた五反田ですが、多くの時間を上官の風呂の準備に費やすなど、苦労があった様子。
そして改めて常子に向き直り、「社長も、相田も・・間もなく戻ってくる」そう告げました。
療養中の富樫からも、いずれ復帰すると手紙を貰っていたようです。
「皆さん・・御無事だったんですね」感極まって、思わず涙がこみ上げそうになる常子。
「おいおい・・泣くんなら僕の胸で!」両手を広げて迫る五反田ですが、「結構です!」常子は笑って拒絶します。
「これで・・作りたい雑誌を作れるね」五反田がしみじみと語りかけると、「はい!」常子は力強く頷くのでした。
そして、はたと思い出した常子は、机の引き出しから甲東出版の社判を取り出し、五反田に引き渡します。
「ありがとう」五反田は懐かしそうに社判を手に取ると、常子に感謝の気持ちを伝えるのでした。
物陰に隠れて常子をやり過ごし、背後から迫ってちょっとしたドッキリを仕掛けた五反田。
戦時中の苦労を語っていた五反田ですが、暇な時間にずっとこんなことを考えていたのでしょうか?
その方が五反田らしい気がしますね。
そして、ようやく戻って来た五反田を見て、思わず涙ぐみそうになる常子の姿からは、甲東出版を女手一つで守り抜いてきた、プレッシャーの大きさが感じられました。
泣くんなら僕の胸で・・再び出征直前に口にしたセリフを繰り返したプレイボーイの五反田と、それを笑って拒否する常子。
以前のシーンでは、これから戦地に赴く五反田が、寂しさを紛らわせようとしているように見えましたが、今回は同じようなやり取りながら、平和な時代の到来を思わせました。
綾との再会
ひと月後に相田、続いて社長の谷が復員し、いよいよ甲東出版の本格的な再開の時がやって来ました。
「何だか・・妙な感じだな・・・」社判を見つめていた谷が、ポツリと呟きました。
「また皆さんと、こうやって話し合える日が来るなんて」感慨深げな常子。
記念すべき再出発の日・・五反田の言葉に頷き、慎重に時間をかけて企画を練ろうと主張する相田ですが・・・
「いや、そうはいかん」長きにわたった統制で、心底活字に飢えている国民のため、谷は早期に雑誌を再開させたい考えのようです。
俺も現地で、文字のありがたみを感じたよ・・戦時中の苦労を思い返す谷。
慰問袋に入っていた面白くもない本、それでも読書の時間だけは辛いことを忘れられたのでした。
「人間は、飯を食うだけじゃ生きていけないんだって」戦争を生き延び、心底そう実感したのです。
そして常子も、闇市で本に殺到する人々や、戦時中に本を借りに来る客の反応を見て、同じことを感じていました。
「だから雑誌を出すのは早い方がいい」そう言うと、谷は立ち上がって黒板に”七月発刊”と、勢いのある字で書きました。
しかし、紙も無ければ原稿も何も無し、昔世話になった作家の多くは戦死か行方不明という状況。
さすがに無茶なスケジュールに、驚き慌てる五反田。
ですが、谷にはある考えが・・「お前の小説があるじゃないか!」目を輝かせ、五反田に迫ります。
こいつ、本当は小説家志望なんだよ・・意外な事実を知らされ、目を見張る常子。
「こう見えてロマンチックで、美しい物語書くんだよ・・・」谷に暴露され、五反田はあたふたしっぱなし。
常子が好奇の視線を五反田に浴びせる中、「どうだ!自分の作品を世の中にそろそろ出してみては!」書き溜めた作品を発表するよう、谷が促します。
是非!うちで連載してくれ!・・繰り返し谷に説得され、ようやく五反田も決心しました。
こうして、”新世界”の再会に向けて動き出した甲東出版ですが・・・
「あ・・あの・・・新しい企画を、立ち上げる訳ではないんですよね?」仕事に取り掛かろうとした谷に、常子が尋ねました。
まずは文芸誌”新世界”ここにあり、ということを世間に示す・・それが谷の考えです。
「確かに・・そうですよね・・・」微妙な返事をした常子を、五反田が怪訝そうに見つめていました。
小橋家では、鞠子が新聞の求人広告をチェックしています。
「いよいよなんです!いよいよ!」甲東出版の活動再開を、嬉しそうに家族に報告する常子。
闇市で見たように、わあーって売れるんだろうね・・美子の言葉に浮かれる常子ですが、その様子を鉄郎は冷めた目で見ています。
一方の鞠子は・・「こうしてると・・お腹空いて、辛いのが紛れるから」そう言って、まるで瞑想するかのように、目を閉じて息を整えていました。
やや微妙な沈黙が流れる中、「なあ、常子・・・」鉄郎が話しかけてきました。
「雑誌出せるって喜んでるが・・売れたらお前にカネが入るのか?給料が倍になるのか?」
唐突な質問に常子が戸惑っていると、「いいか?お前の稼ぎで一家を養っているんだぞ・・」珍しく真顔で鉄郎が迫ります。
もっとカネ稼ぐことを、真剣に考えろ・・鉄郎の言葉に、家の中には重苦しい空気が漂うのでした。
その時、ドンッドンッと玄関を叩く音に続いて、「ごめんくださーい」と女性の声が。
常子はチラッと鉄郎の方を見て、立ち上がって玄関へと向かいます。
「何か?」常子が玄関をガラガラと開くと・・「お久しぶりです」そこには、小さな子供の手を引いた女性が立っていました。
一瞬、誰だか分からずキョトンとする常子。
「卒業式の日以来だから、もう九年ね」そう言ってフフッと笑ったのは、紛れもなく親友の綾でした。
「綾さん?綾さんなのね!」常子は感激し、思わず綾に抱き着いていました。
再び甲東出版の人々が目の前に揃い、編集会議を開く・・常子にとっては待ち焦がれた光景に違いありません。
”ロマンチックで美しい物語”を書くという、五反田の意外な一面を知り、興味津々の常子でしたが、その胸中はなかなか複雑なようです。
戦争が終わったらいろんなことが知りたい・・そう語っていたお竜を見て、自分の本当にやりたいことを考え始めた常子。
本当はすぐにでも自分の企画を実現させたいはずですが、谷にしてみれば新しい企画は言うなれば賭けのような物。
まずはこれまで通り、”文芸誌・新世界”の復活に全力を挙げるというのが、社長としては当然の判断です。
常子にしても、生活の掛かった仕事でそうそう冒険する訳にもいかないはず。
そんな板挟みになる常子の前に現れた、女学校時代の親友・綾。
これから常子の雑誌作りを手伝うことになるのですが、綾との再会で常子の心境にどんな変化が訪れるのでしょうか?
そして、常子の変化に気付いた様子の五反田は、今何を思うのでしょうか?
とと姉ちゃん14週79話の感想まとめ
ようやく戦争が終わったものの、食糧・物資の不足は変わらず、一向に就職先が見つからない状況に、鞠子も苛立ちを強めています。
そんな中でようやく、五反田を始め甲東出版の社員たちが復員し、雑誌作りが再開するのですが・・自分のやりたい事を見つけた常子は、複雑な心境。
そして、「もっとカネを稼ぐことを真剣に考えろ」という鉄郎の言葉に考え込む常子の前に、親友の綾が現れるのですが・・・
久しぶりに登場した綾は、以前と比べて何だか逞しく見え、戦争中に相当な苦労があったことが窺われますが、その点では常子たちの苦労も大変なもの。
これから常子の雑誌作りを手伝うことになる綾ですが、一体どういう形で貢献していくことになるのか、綾が戦争の経験から何を学んだかが問われるのではないでしょうか?
以上、とと姉ちゃん14週79話のあらすじネタバレと感想でした!