とと姉ちゃん 12週70話のネタバレと感想
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」12週70話のあらすじネタバレと感想です。
まずは12週69話の振り返りを少し。
ユーモア特集のカットを受け取るために、内務省の花山を訪ねた常子ですが、カットはまだ出来ておらず、そもそも花山には描く気が無い様子。
ですが、「如何なる手を使ってでも」描いて貰うよう仕向けるのが、編集者の仕事・・という花山の言葉を逆手に取った常子は、一計を案じます。
”一時間以内に花山がカットを描くか、描かないか?”と言う賭けを持ち掛け、見事花山にカットを描かせることに成功するのでした。
着々とユーモア特集に向けて準備が進む中、青柳商店では滝子が昔馴染みの客から仕事を引き受け、張り合いが出来たおかげか、体調も回復基調に。
加えて、清が統制会社にいたおかげで、青柳商店に大きな仕事が舞い込み、全てが上手くいっているように見えたのですが・・突然、谷編集長が警察に捕まったとの一報が飛び込んできました。
目次
とと姉ちゃん 12週70話のあらすじネタバレ
最悪発禁処分!?甲東出版の危機
「社長が・・警察に捕まりました!」突然飛び込んできた悪い知らせ。
このご時世、笑える読み物を載せるなんて不謹慎・・と、ユーモア特集の企画が検閲に引っ掛かり、不満に思った谷が強く抵抗。
怒った検閲官によって、拘束されてしまったようです。
「すみません・・私が・・笑えるものを載せたいだなんて言いだしたから・・・」
責任を感じる常子に対し、「皆が決めたことじゃないか・・・」そう言って気遣う五反田ですが、動揺は隠せません。
警察に面会に行こうとする常子ですが、そう簡単に合わせて貰えるはずがないと、五反田が引き留めます。
「それよりも、社長がいない間・・いかに此処を守るかに専念すべきじゃないかな」
どうにか皆を落ち着かせようとする五反田に対し、発売は延期か・・力なく呟く富樫。
「いや・・最悪の場合、発禁処分になるかも・・・」より深刻に考える相田の言葉に、常子が衝撃を受けます。
しかし、五反田が心配しているのは、その先の事。
今回の件で悪評が広まれば、広告を載せている会社が降りると言い出しかねない・・・
「広告で持ってるようなもんですもんね雑誌は・・・」もしそうなれば、死活問題・・相田は不安が募ります。
途方に暮れる常子たちに、五反田は今のうちに雑誌を回収するよう、指示を出しました。
「発売の許可が降りるとしても、何らかの訂正を求められる可能性は高い」
どんな指示にも対応できるよう、回収しておいた方が賢明・・常子たちは、手分けして取次店と書店に連絡することに。
その頃青柳商店では、滝子と君子が穏やかな時間を過ごしていました。
「工場宿舎の仕事が上手く進んだら・・また昔みたいに賑やかになるんだろうねえ・・・」
しみじみと語る滝子ですが、隈井が中々打ち合わせから戻ってこないことが、多少気掛かりなようです。
宿舎の件では滝子の手を煩わせたくない、と言っていた清ですが・・・
君子が滝子を宥めていた時、「女将さん!ただ今戻りました」ようやく隈井が戻ってきました。
早速、打ち合わせの詳細を訪ねる滝子。
「え!・・そらもう・・全てもちろん、あの・・順調に・・進んでおります」曖昧な返事を返す隈井。
「宿舎は、どんな作りなんだい?」滝子がより詳しい説明を求めます。
「作りですか?作りはもう・・活き活きとしたねえ・・活き作りってんですかね・・とても、あの・・良い作りでしたよ」
設計は既に出来上がっているはずですが・・答えをはぐらかす隈井に、苛立ちを強める滝子。
何故か早々に話を切り上げ、慌てて立ち去ろうとする隈井を引き留め、聞き出そうとする滝子ですが・・・
君子はそんな二人のやり取りを見て、不安を覚えるのでした。
一方の甲東出版では、雑誌の回収が進んでいました。
五反田がリヤカーに積んで回収してきた雑誌を常子が受け取り、机の上に積み上げていきます。
「よし・・今日の分はこれで終わりだ」最後の一束を雑誌の山の上に置き、五反田が呟きました。
疲労困憊した様子の五反田ですが、「常子くんはもう帰っていいよ」後輩を気遣うことを忘れません。
私も皆さんと一緒に・・やはりまだどこかで責任を感じている常子。
しかし、この先回収作業がいつまで続くか分からず、長期戦を見越して体力温存も大切・・と五反田が諭し、常子も納得するほかないのでした。。
ユーモア企画が検閲に引っ掛かり、さらには谷が逮捕されるという危機的な状況。
発売延期どころか、最悪の場合は発禁処分になるかもしれず、企画を考えた常子の不安は増すばかりです。
さらに五反田が心配するのは、この騒動が尾を引いて広告を載せている会社が手を退くかもしれない、ということ。
自分たちの立場の弱さを思い知らされた常子ですが、後々自ら雑誌を創刊するにあたって、重要な教訓を得たはずです。
戦後、女性のための実用雑誌”あなたの暮し”を創刊する常子。
”あなたの暮し”のモデルとなった”暮しの手帖”は、外部からの広告を一切載せないことで知られています。
商品テストをするにあたって、広告主から不当な圧力に晒されることなく、正しく批評することで読者からの支持を得たわけです。
広告収入に頼って雑誌を出版する以上、自分たちの言いたいことが言えなくなるかもしれない・・・
理不尽な国の検閲と共に、常子はそんなことも考えていたのではないでしょうか?
そして、一方の青柳商店では、清が持ち込んだ工場宿舎の建設の仕事に、何やら暗雲が。
宿舎の件について、何を聞かれても話をはぐらかす隈井・・さすがに滝子でなくとも不信感を抱きます。
危機を脱したかに見えた青柳商店の経営問題、再び暗転の兆しが見えてきました。
暮しを守る・・滝子の思い
常子が会社から戻ってくると、何故か玄関に美子が座り込んでいました。
「な・・何してるの?そんなところで・・・」常子が尋ねたところ、清が帰ってきたらすぐ知らせるように・・と滝子に言われているとのこと。
「大事なお話があるんだって」美子の言葉に、不思議そうな顔をする常子。
と、その時・・「ただい・・あれ?」帰ってきた清が、二人を見て一瞬キョトンとした表情を見せました。
しかし、すぐに「僕のお出迎えかい?」参っちゃうなあ・・と、いつもの調子でおどけて見せます。
美子はそんな清には構わす、「お祖母ちゃま!清さん帰ってきました!」奥に向かって声を掛けました。
「・・・何事?」状況が掴めず、清が常子に尋ねますが・・もちろん常子にも分かりません。
滝子は清を部屋に入れ、厳しい表情で向き合い、告げました。
「工場宿舎の件は・・無かったことにするよ」突然の宣言に、動揺する清。
明日には工場の設計担当者と打ち合わせ、今更白紙にはできません。
「そんな事は関係ない!」滝子の怒りの原因は、隈井から聞いた宿舎の設計にありました。
「・・・その宿舎、四畳半に四人が暮らす勘定の作りだって言うじゃないか!」
狭いだけではなく、予算も少なくろくな木材を集められない・・厳しく非難する滝子。
「そこに暮らす人間の事なんて、これっぽちも考えちゃいないじゃないか!」青柳の看板を守ってきた滝子としては、譲れないものがあります。
しかし、現在集められる少ない木材で、出来るだけ大勢の人間を収容するには、ああいう設計にしなければならない・・清も簡単には譲れません。
「いいかい!このご時世、みんな必死で普段通りの暮らしを 何とか守ってるんだ!」
こんな設計では”普段通り”どころか、暮らしというもの自体が成り立たない・・滝子は徐々に感情が昂り、そばに居た君子が体を気遣います。
常子たちは、黙って聞いている事しかできません。
「これは・・青柳の仕事じゃない!」滝子には、誇りを持ってたくさんの暮らしを支えてきた、という自負があります。
「そうやって・・青柳の看板を守って来たんだ!そんな酷いところに大事な木材は降ろせないよ!」
滔々と自らの思いをぶつける滝子ですが・・「いい加減にしてください!」突然、清が声を荒げました。
滝子が目を見張る中、今度は清が自分の気持ちを打ち明けます。
「お母さんが元気になって、昔のように仕事をしてくれるのは嬉しいです」
しかし、昔のようなやり方では食べていけない・・この非常時には今までのやり方では通用しない。
「先日、お母さんが進めていた家作りの事だって・・」採算度外視の商売では、店の首を絞めるだけ・・切々と訴える清。
「なんてことを言うんだい!」滝子はあまりのショックに、思わず呼吸が乱れます。
その時、「・・・女将さん・・あっしも、清さんに賛成です」隈井が覚悟を決めたように、切り出しました。
時世を考え、どんな仕事でも引き受け、何とか店を潰さないよう耐え抜く・・それが店の看板を守ることにつながる。
番頭の隈井にまでこれまでのやり方を否定され、憮然とする滝子。
しかし・・それでも、「私は・・認めないよ」滝子が考えを曲げることはありませんでした。
滝子の頑なさに苛立った清は、無言のまま部屋を出て行ってしまいました。
これまで守ってきた理想を信じる滝子と、あくまで戦時下という現実を見て、妥協することもやむを得ないと考える清。
外で働き家計を支える清から見れば、滝子の言っていることは”平和な時代の理想”と映ったのかもしれません。
ましてや、昔馴染みの客に採算を度外視して良質な木材を渡し、”看板を守る”為に店の経営を苦しくする滝子に、ずっと不満が溜まっていたのではないでしょうか?
或いは、そんな目先の問題だけではないのかもしれません。
青柳商店の跡継ぎとして養子に迎えられた清は、子供の頃からずっと、厳しい滝子に認めてもらおうと必死に頑張ってきたはずです。
ですが、どれ程一生懸命店の経営について考えても、滝子と考えが噛み合わず、無力感に苛まれたのではないでしょうか?
君子が青柳を飛び出した後、常子に対して「養子の私が分かり合うなんて到底無理な話なのかなあ・・・」と、おどけたふりをして語った清。
やはり、ずっともやもやした感情が清の中にはあったのだと思います。
一方の滝子は、突然声を荒げた清を見て、何を思ったのでしょうか?
清に対するこれまでの自分の接し方を思い返して、反省するところがあったのかもしれません。
それとも、自分が信じてきた理想が、時代の流れに逆行していると、気持ちが揺らいだのでしょうか?
常子も信じる”普段通りの暮らしを守る”という、滝子の理想ですが・・・
出版許可は下りたものの・・・
部屋を飛び出した清は、子供のように膝を抱え、じっと考え込んでいます。
そこへ、隈井と滝子が様子を見にやって来ました。
「清さん・・申し訳ありませんでした」手をついて詫びる隈井。
宿舎の間取りの事を滝子に言わないよう、固く口止めされていた隈井ですが、滝子の追及の前に口を割ってしまったのでした。
秘密を隠しておくのが不得手なもんで・・涙を浮かべ、隈井が繰り返し頭を下げます。
「いや・・これで良かったよ・・・」おかげで秘密を作らないで済んだ・・と、寂しそうに呟く清。
「結局お母さんは・・私を跡取りとして認めてくれることは、一生無いのかな・・・」
清の切ない告白に、隈井も君子も何も言えませんでした。
一方の滝子は、一人で帳場に座っていました。
青柳商店の歴史を振り返るように、机を撫で店の中を見回しています。
そんな滝子を、じっと見つめる常子は・・・
その翌朝、お茶の間で清が新聞に目を通していると、滝子が起きてきました。
そして、昨日とは打って変わって穏やかな表情で、「引き受けちまったもんは仕方ない・・工場宿舎の件はお前に任せるよ」そう言って清に一任するのでした。
「ありがとうございます・・お母さん」滝子の言葉に、頭を下げる清。
再び顔を上げ、滝子をしっかり見据え、「必ず店は守りますから・・お母さんは、病気を治すことに専念してください」懇願するように伝えます。
自分を気遣う清に対し、穏やかに頷く滝子。
青柳商店の問題は一応の決着をみましたが、常子にとってのもう一つの心配の種は、雑誌の検閲問題です。
甲東出版では、今日も雑誌の回収が続けられていました。
「ただいま・・・」疲れ切った表情で、リヤカーを引いた五反田が戻ってきました。
「ずい分ありますね・・・」リヤカー一杯に積まれた雑誌の山を見て、ウンザリするように呟く常子。
これで一応書店に回っている分は、回収が終わったようですが・・・
二人が一息ついた時、「済まなかったな」釈放された谷が姿を現しました。
しかし、その顔には大きなあざが。
「名誉の負傷だよ」心配する二人に、軽く笑って見せる谷。
自分がユーモア企画を提案したばっかりに・・谷の顔を見て、常子は改めて罪悪感に襲われます。
「・・・企画を出したのは俺も同じだ。一人の手柄にされちゃ困るな?」谷は、冗談めかして笑ってみせるのでした。
五反田は、雑誌の発売がどうなったのか気にしていますが・・・
「許可は下りた」谷の言葉を聞き、常子もホッとした表情を見せます。
ですが・・「ただし・・問題のあるページをすべて削除するのが条件だ」俯いたまま、谷が厳しい現実を告げました。
「削除・・・」その言葉を、上手く飲み込めないでいる常子。
谷は雑誌の山を前に、椅子にどっかりと腰を下ろすと、「こういう事だ」ため息交じりに言うと、雑誌をパラパラと捲り、ユーモア特集のページに定規を当て、切り取り始めました。
2ページ目、3ページ目と黙々と切り取り続ける谷。
「社長・・ユーモア企画は、すべて削除ってことですか?」五反田の質問にも答えず、黙ってページを切り取り続けます。
そして、五反田たちも・・谷に倣い、ユーモア特集のページを切り取り始めました。
ずっと黙って見ていた常子でしたが、やがて諦めたように・・悔しさを滲ませながら・・自分も作業に取り掛かるのでした。
―――常子の思いは、時代の大きな潮流に飲み込まれていったのです
現実に負けた・・一言で言えば、青柳商店の問題も、ユーモア特集の検閲もそういうことになるのではないでしょうか?
滝子は、養子の清の将来を慮って自ら折れたのかもしれませんが、自分の役割はもう終わった・・という諦めに似た感情もあったのではないでしょうか?
清の前に姿を現した滝子は、まるで憑き物が落ちたような穏やかな表情をしていましたが、これまで精神的な支えであった仕事から、身を退く決断をしたのかもしれません。
気力を失った滝子の事が心配になりますが、美子との約束を守って、来年の夏祭りに一緒に行くことが出来るのでしょうか?
そして甲東出版では、ようやく谷が釈放されたものの、常子の考えたユーモア特集は全て削除することに。
当局の理不尽な要求に屈し、黙々とページを切り取り続ける谷編集長。
そして五反田たちも無言を貫く谷を気持ちを察し、最後には常子も無言のまま作業に加わりました。
常子たちの敗北感というものがありありと伝わってくるシーンを見て、複雑な気分になりました。
とと姉ちゃん12週70話の感想まとめ
ユーモア特集が検閲に引っ掛かり、谷が警察に捕まったことに責任を感じる常子ですが、全員一致で決めたこと。
何より、常子の入社前から、谷が手掛けたいと思ってきた企画でもあり、常子一人の責任ではありません。
しかし、何とか最悪の発禁処分は免れたものの、ユーモア特集はすべて切り取ることになったのでした。
常子にとっては最初に手掛けた企画が、大きく躓いてしまう結果になってしまった訳ですが、今後の成長のために必要な試練だったのではないでしょうか?
そして、青柳商店でも工場宿舎の建設を巡って、清と滝子の間に確執が・・滝子が譲る形で決着したものの、今後にしこりを残す結果になったかもしれません。
以上、とと姉ちゃん12週70話のあらすじネタバレと感想でした!